これがベトナムの富裕層だ!仕事 生活 消費
ベトナム人にマナー
教育スクールを開校して成功
大好きだった銀行員の仕事を辞めたのは、給与の良い外資系企業に移って、ホーチミン市に出てきた家族を養うため。ただ、そこでの9年間が彼女を変えた。「ベトナム人のマナー」に着目して、米国系のマナー教育学校を導入する。
John Robert Powers
Red Coral Company Limited
Principal
Vo Thi Xuan Trang ヴォー ティー スワン チャン
1970年、カントー生まれ。ホーチミン市師範大学英語学科を卒業後、ベトコムバンクに入社。その後、富士フィルムに転職。2006年にアメリカの教育学校「John Robert Powers」とフランチャイズ契約を結び、独立。
マナー教室を起業 個人向けと企業向け
「ベトナム人は優秀で勤勉、勇敢でもありますが、マナーなどのソフトスキルが弱いんです」
富士フィルムでの仕事で、Trang(チャン)氏はベトナム全土と海外各国への出張を経験。そこで改めて自国と諸外国の文化の差を認識し、ベトナム人の欠点を実感したという。それは、人付き合いがラフで、洗練されていないこと。
特に外国人と接する際には妙に自信過多になるか、怖がってしまう。そこで彼女は、外国人と付き合える「マナーの学校」を作りたいと考えた。
「インドネシア人の上司に相談すると、アメリカで設立されたJohn Robert Powers(JRP)を紹介してくれました。ここは女性を内外の両面から磨く学校で、ミスユニバースなどのトレーニングもしています。私はフランチャイズ契約を結びました」
カリキュラムには5~8歳、9~12歳、13~17歳、18~22歳、23歳以上の年齢別個人コースと、企業スタッフ向けや、政治家・著名人向けがある。各コースは5段階のレベルに分かれ、1つのレベルに11コマ(授業)があるため、合計で55コマとなる。1コマが2時間だ。トレーニングの内容は、メンタルの強化、コミュニケーション力の向上、自分のイメージアップの主に3つ。
「生徒は個人と企業スタッフに大きく分かれますが、この3年で個人客が増えて6~7割になりました。個人の約8割が子どもで、一番人気は13~17歳のコースです。個人の生徒数は時期により分かれますが、1ヶ月で50人ほどですね」
夏休みシーズンは子どもたちで混み、家族が1ヶ月通わせる場合もあるという。JRPはホーチミン市にあるが、この時期の約半数はハノイからやってくるそうだ。全5レベルを4年間以内で終了するのが目安だが、夏休みなどなら3レベルを1ヶ月で終わらせるという。
1レベルが約1000USDということもあり、子どもの親は高収入のビジネスマンが多い。現在のベトナムでは会社員が増加しており、成功している人は特に忙しいため、子どもと会う機会が減っている。そのため、子どもは物質的には豊かでも、情緒が不安定になったり、行いが粗暴になったり、うつ病になる場合もあるという。そこで、これらを改善し、前向きな気持ちになるように、JRPに入れる親が多いのだそうだ。
ベトナムの富裕層は高級品とブランド品好き
「マナー教育」という概念がベトナムに根付いていなかったこともあり、経費の負担で苦労した時期もあったが、現在の経営は安定しているという。
自身の収入については「内緒」とのことだが、ベトナムの富裕層について話をしてくれた。彼女は高所得者が集まる「ラグジュアリーレディクラブ」などにも参加しており、そこで多くの富裕層の女性に出会うという。
中には高所得者の夫人もいるが、ほとんどがビジネスウーマン。彼女たちは高級な車、服、アクセサリー、バッグなどにこだわるブランド好きだそう。バッグなら2万~3万USDのものを何十個と持っている人もおり、数が多すぎて使っていないバッグもあるそうだ。
彼女たちがこのようにお金を使う理由をTrang氏は、「成功者であることを見せたい気持ち」と語る。
「自分に合った上品な身なりが大切と伝えても、嫌がる人はやはりいます。マナーができていないと成功者とは言えないと思いますね」
趣味は不動産売買 家族旅行は5つ星ホテル
Trang氏のお金の使い先のひとつは、スキルアップ。毎年海外、主にアメリカでの経営者向けセミナーなどを受講する。料金は1回1万~2万USDで、日本に行くこともあるという。また、趣味は家と土地を買うこと。現在、土地は3ヶ所あり、野菜を作るためや、川の傍で美しい場所だったなどが購入の理由だそうだ。
「私は農家の出身なので、そんな土地が好きなんです。また、お金は銀行にあまり預けず、必要な時には不動産を売却します。そのための投資でもあります」
家族のためにお金を使うのは旅行。彼女には夫とJRPを手伝う娘がいるが、彼らと中国や日本などに旅行するという。ツアーではなく手配旅行で、宿泊は5つ星ホテル。一人当たり合計で5000~7000USDかかるという。
「今後もこの国は確実に成長して、貧乏な国ではなくなるでしょう。問題は人がどう変わるかです。知恵や知識で金持ちになる人がいる一方で、別の方法を考える人もいるでしょう。この国の文化や環境が守れなくなるのが心配ですね」
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