越の国の法律相談 No.010

採決の延期の声も修正を経て、施行へ

2018年6月12日にサイバーセキュリティ法が可決成立し、2019年1月1日から施行が予定されています。

本法を所管するのは、公安省と国防省です。2016年施行のサイバー情報保護法が、情報通信省を主管官庁とし、サイバー空間における個人情報の保護等に主眼があるのに対し、本法は、主管官庁の顔ぶれからもわかるように、国家の安全保障、社会の秩序維持や安全を基本的な目的としています。

2017年に公安省から公表され、国会に提出された法案には、海外企業がベトナムで通信・インターネット関連サービスを展開しようとすると、ベトナム国内で事業認可を取得し、ベトナム国内に事務所を設置しなければならず、また、利用者のデータを管理するサーバーをベトナム国内に設置しなければならない等の条項が含まれていました。

このような内容を含む法案に対して、ベトナム商工会議所をはじめベトナム国内外から、WTO(世界貿易機関)協定やTPP(環太平洋パートナーシップ協定)に違反するのではないか等の指摘が相次ぎ、採決の延期を求める声もありましたが、必要な修正の上、今般の成立、施行に至りました。

今後の具体的な政令・通達に注目を

本法では、ベトナム国内サーバーの設置義務を直接的に定める規定は削除されましたが、通信・インターネットサービス等の事業者は、ベトナム国内利用者のデータを、政府が定める一定の期間、ベトナム国内に保管すべきとされ、また海外事業者はベトナム国内に支店または駐在員事務所を設置すべきものとされました。

なお、データの保管期間に関し、現在公表されている政令案では個人情報は事業者またはサービスが存続する間とされ、その他の情報は3年となっています。

順次、その他の首相決定案、政令案が公表される見込みであり、今後の具体的な政令、通達やその運用に注意を払う必要があると考えられます。

 

岡田英之Hideyuki Okada
日本国及びベトナム外国弁護士。ホーチミン市、
ハノイ両オフィス開設時からベトナムに常駐。両事務所の代表を務める。
TMI総合法律事務所 Ho Chi Minh City Office
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