トナムで刑事事件の被疑者として逮捕・勾留されることは、通常は考えられませんが、その場合はどうすればよいでしょうか?

まず、外国人を逮捕・勾留した捜査機関には、国籍国の在ベトナム大使館・領事館に連絡する義務があり(これを怠ると後で外交問題になる)、すぐに家族や勤務先に状況が伝わります。その後は、刑事事件に強いベトナム人弁護士を探して選任し、ただちに捜査機関に接触してもらって、本人が内容のわからない書面にサインしないようにすることが重要です。

取調べや弁護活動の結果釈放されればよいのですが、立件・起訴・訴訟と進むときは、保釈を目指します。保釈の対象は、法定刑の上限が懲役15年以下の犯罪に限られ、犯罪行為の内容、生活状況、社会に対する危険度などによって判断されます。現行法令の保釈金額は、2000万VND以上(軽微な犯罪、法定刑が罰金・懲役3年以下)、8000万VND以上(重大な犯罪、懲役3年以上7年以下)、2億VND以上(特に重大な犯罪、懲役7年以上15年以下)ですが、近く軽微な犯罪は3000万VND以上、それ以外は2億VND以上に引き上げられる予定です。

保釈後も、逃亡しない、捜査機関や裁判所の呼出しに応じる、証拠を隠滅しない、証人・被害者やその家族を圧迫しない、などの義務が課せられるほか、居住地外出禁止処分や出国停止処分を併せて受けることがあり、完全に自由な行動はできません。違反すると保釈金が没収され、再度身柄を拘束されます。

万一逮捕・勾留されたときは、家族や同僚が必ず助けてくれることを確信し、冷静に対応して下さい。

本連載は次回から「週刊SK」(月1回掲載)に引っ越します。引き続きよろしくお願いいたします。

小幡 葉子
Obata Yoko
TMI総合法律事務所ハノイオフィス勤務。日本国弁護士・ベトナム外国弁護士。1992年より雨宮眞也法律事務所にて企業法務を担当、JICAベトナム法整備支援長期専門家などを経て、2013年4月より現職。
www.tmi.gr.jp