14回の対談は、前回に続き税務・関税担当のTuan Anhさんです。

小野瀬 前回、税関事後調査が活発化しているという話の中で、在庫残高の差異に関する調査が非常に多いと聞きました。もう少し詳細に教えてください。

Tuan Anh まず、輸出加工企業であるEPE企業(一部Non-EPE企業も含む)は、製品毎にBOM(材料毎の標準消費量)を設定し、社内で管理・保管する義務を負っています。また、旧関税法(2015年3月31日以前)下では、BOMの登録が要求されていました。過去、BOMの見直しを適時に行っていなかった場合には、過去から継続的に差異が発生していることが多く、税関事後調査時には、当該差異の理由の説明を求められ、合理的に説明ができない場合には、当該差異に関する関税及びVATが課されることとなります。

小野瀬 過去からの差異を遡って分析するのは非常に大変だと思いますが、実際に分析を行う際のポイント等はありますか?

Tuan Anh 差異は、プラス差異(実際在庫>税関側が把握している在庫)と、マイナス差異(実際在庫<税関側が把握している在庫)の2つに分けることができます。このうち、マイナス差異については、材料等を国内に横流しをしたと看做され、関税及びVATを課される可能性が高いです。そのため、優先的に過去の期間における実際使用量とBOMの間の差異を分析するとともに、当該実際使用量を証明する証憑等を準備する等の、事前対応が必要となります。さらに、将来への対応として、BOMの見直し(実績との比較)を適時に行うことも重要となります。

小野瀬 貴久
Onose Takahisa
Ernst & Young Vietnamのホーチミン事務所に勤務する日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、2006年からEYジャカルタ事務所、2011年よりEYベトナム・ホーチミン事務所に勤務。
ウェブサイト: www.ey.com