【ベトナム税務・会計】日系企業が支払う健康保険料
実際には海外旅行保険を活用 Vol. 12
Yベトナムの小野瀬です。第12回の対談は前回の続きとなります。個人所得税担当のKim Anhさんです。
小野瀬 前回の話で、日本企業に在籍したままベトナム企業に赴任している日本人駐在員に対しては、日本とベトナムの両方で健康保険料を支払う必要があるとのことでした。健康保険料を支払っている以上、ベネフィットを受ける権利はあると考えられますが、日本人駐在員はベトナムで医療給付等の支給を受けられるでしょうか?
Kim Anh 日本人駐在員であっても、医療給付を受けることは可能です。ベトナムで指定された公的な病院で治療を受けた場合、必要な申請を行うことで医療給付を受けることができます。
小野瀬 なるほど。ただ現実的に、ベトナムで医療給付を受けている駐在員の方は少ない気がしますが、なぜなのでしょうか。
Kim Anh いい質問ですね。ベトナムで医療給付対象となるのは公的な病院のみとなっています。混雑している場合が多く、英語が通じないことが多いため、日本人駐在員の方が指定病院を使うケースはかなり少なくなっています。従って、強制社会保険に基づいて、医療給付を受ける場合は少ないといえます。
日本人駐在員の方については、出向元の日本企業が任意で海外旅行保険に加入している場合が多く、当該任意保険によって医療費が全額賄われるケースが多く見受けられます。従って、日本人駐在員及びその出向先企業が負担するベトナムでの健康保険(HI)については、保険料を支払うのみとなっており、事実上、寄付金のような形となっているケースが非常に多いといえます。
小野瀬 貴久
Onose Takahisa
Ernst & Young Vietnamのホーチミン事務所に勤務する日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、2006年からEYジャカルタ事務所、2011年よりEYベトナム・ホーチミン事務所に勤務。
ウェブサイト: www.ey.com
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