トナム人Bさんと結婚したベトナム在住日本人Aさん。しかし、結婚生活は残念ながら長くは続かず、2人は離婚を決意します。2人ともベトナムに住んでいる場合には、ベトナム婚姻家族法によって離婚手続きが進められます。

ベトナムでは、裁判離婚と協議離婚があり、いずれも裁判所が関与し、裁判所が関与しない離婚手続きはありません。

裁判離婚については、夫または妻は裁判所に対し、離婚を請求する権利を有します。裁判所はまず和解に付し、和解で解決しない場合、①家庭内暴力、または②結婚を深刻に悪化させ、共同生活の継続を不可能にし、婚姻の目的を達成できないような夫婦の権利義務の重大な侵害、のいずれかが認められれば、裁判所は離婚判決を下します。なお、妻が妊娠中または12ヶ月未満の子どもを養育する期間中は、夫は離婚を請求できません。また、離婚後は父母双方とも引き続き養育義務を負います。直接の養育者について父母で相互合意できない場合、裁判所がいずれかを選任しますが、子どもが3歳以下の場合、原則として母が直接の養育者となります。

協議離婚の場合、夫婦が合意の上で裁判所に申立てをし、夫婦が、真に離婚を望んでおり、財産分与と子どもの監護等に関して双方が合意した場合、裁判所は協議離婚を承認します。申立てから裁判所の承認までには相当の期間を要するようです。

結婚関係は、裁判所の離婚判決または決定が効力を生じた日に終了します。裁判所は、離婚判決または決定を県級法務課に送付します。

こうしてAさんとBさんは離婚し、それぞれの幸せを求めて再出発しました。

小林 亮
Kobayashi Ryo
TMI総合法律事務所ホーチミンオフィスに勤務する、日本国及びベトナム外国弁護士。東京オフィスにて多数の東南アジア案件を担当後、2014年3月よりホーチミンオフィス駐在。
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