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007 年に実現したベトナムのWTO 加盟以降、多くの日本企業が現地法人を設立する形でベトナムに進出しています。今回は『SKETCH PRO 創刊号』ということもあり、ベトナムの会社制度の基本について概観したいと思います。

ベトナムで設立できる会社は、大まかに、出資者数50 名以下の場合に利用可能な有限責任会社(LLC)と、出資者が3 名以上の場合に利用可能な株式会社(JSC)の2 つに分かれます。

現地法人への出資形態としては、外資100%出資または現地パートナーとの合弁による出資が一般的で、出資者が2 名以下となるのが通常のため、多くの場合は有限責任会社が利用されます。

現地法人の設立にあたっては投資証明書(IC)の取得が必要ですが、設立後も役員変更、事業内容拡張等、IC の記載事項の変更に該当する事象が生じた場合、その都度IC の変更申請を行う必要があります。

役員は、日常業務全般を行う社長と、これを監督等する立場の会長等の設置が必要になり、いずれかが会社の代表者となります。

代表者はベトナムに常住することが必要で、出張等で30 日以上ベトナムを不在にする場合、代表権を他者に委任する必要があります。

資金管理面ですが、日本と異なり、会社設立までの資本金の全額払い込みは強制されておらず、設立後、分割で払い込みを行うことも可能ですが、定款記載の払い込みスケジュールを遵守する必要があります。

一旦払い込んだ資本金を減額することが困難なこともベトナムの会社法の特徴の一つで、親会社からの借入れの活用も含め、当初の資本金設定には十分留意する必要があるでしょう。

坂崎 宏幸
Sakazaki Hiroyuki
ケルビンチア法律事務所(ホーチミン市)に勤務する日本国弁護士。2007 年よりアンダーソン・毛利・友常法律事務所にて各種金融取引等を担当。2013 年9 月より現職。
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