【ベトナム株】第1四半期のGDPは低迷
考えられる2つの理由
SSI証券のベト株探訪記 No.015
米に左右される農業の成長率
第1四半期のGDPは前年同期比+6・79増加し、6四半期で最も低い成長率を記録しました。農業が8四半期で、製造・加工業が7四半期でそれぞれ最も低い成長率となりました。
ベトナムでは農業における米の割合が非常に大きいので、産業全体の成長に影響を与えます。近年では2018年のみ、天候もよく、市場も好調だったため、農業が+3・74%という過去最高の成長率を達成しました。一方、水産業は17年~18年は輸出市場の拡大により、輸出量と輸出額がそれぞれ大きな成長を達成しました。しかし、中国、韓国、イギリス、オランダなどの重要な市場が一斉に輸入量を減らしたこと、米国市場の成長が減速したことで、19年第1四半期の水産輸出の成長率は18年の第4四半期比1・4%マイナスとなりました。
米中貿易戦争の影響が徐々に?
19年第1四半期、GDPに占めるサービス業の成長率は+6・5%と過去3年間で最も低い伸び率となりました。小売や不動産などの成長率は、前年同期より高かったものの、宿泊・食品サービス、教育などの成長率の低下により、サービス業全体が下落したとみられています。
つまり、19年第1四半期の低成長は、2つの主な理由から来たと思われます。
1つ目は中国が輸入量を減らしたことです。2つ目は、サムソンが携帯電話の生産量を減らしたことです。
米中貿易戦争に伴う中国の貿易障壁の政策方針がベトナムの観光および農業輸出(米と野菜)に直接影響を与えているようです。一方、サムスンは生産戦略の変化と、携帯電話市場の飽和状態のために携帯電話の生産量を減らしました。今後、携帯電話分野において新製品や新プロジェクトの発表がないと、成長率は低下し続けるでしょう。成長を促す力となるのは、金属、自動車、繊維、履物、家具のなどの分野であると思われます。
個人向け分析・投資コンサル部門マネジャー。シンガポールでMBA、ハノイで学士号を取得。2011年より現職。
Saigon Securities Inc.
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