賢者の税務・会計術 vol.018

損金算入するためのいくつかの条件とは

こんにちは、AGSの貝沼です。今回は、ベトナムの法人所得税(以下CIT)の損金算入項目をご案内します。

ベトナムでは、日本同様、益金から損金を控除した額に法人所得税率を乗じてCIT税額の計算を行います。ここでは、会計上の費用のすべてが、損金として控除が認められるものではありません。

損金算入するための要件として、次の項目を満たしている必要があります。①生産・事業活動に直接関連していること、②インボイスや契約書、社内規定など、法律で要求される合理的な請求書等書類を満たしていること、③付加価値税(以下VAT)を含む金額が2000万VND以上の場合、非現金決済をしており、かつ支払いを証明する書類が保管されていること。

さらに、前述の条件をすべて満たしたとしても、次の費用は全部または一部の損金算入が認められません。①CIT法の規定に基づかない固定資産の減価償却費、②行政上の罰金、③税務署へ未登録の銀行口座から送金した費用などが限定列挙されています。

社内規定の不備で損金不算入の例も

実務上では、税務調査の際にレッドインボイスの未取得や、社内規定の不備等を理由に損金不算入となる事例があります。そのため、日頃よりレッドインボイスを取得することを心掛けるとともに、社内規定の作成や、関連書類との内容の統一を図る必要があります。

費用の損金算入可否は、法令に基づき、税務署の判断により決定されます。なお、税務調査の際には、損金算入条件を満たしているかどうかに関して、厳格な調査が実施されるため、事前に専門家へ相談されることを推奨いたします。

貝沼 義斗
AGSハノイ事務所勤務。官公庁での税務業務、青年海外協力隊を経て、2018年より現職。ベトナム語を猛特訓中。
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