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Yベトナムの小野瀬です。第23回の対談は、前回に引き続き監査パートナーのErnestさんです。

小野瀬 前回、棚卸資産の評価について話をしましたが、現物管理も非常に重要であり、多くの企業が管理方法として、棚卸を実施していると思います。

Ernest はい、実際にほとんどの企業が棚卸を実施しています。しかし、棚卸のルールが定められておらず、現場ごとにカウント方法が異なるケースもあり、管理としての実効性が低いケースも多く見られます。また、棚卸資産を管理する部門の担当者がカウントを実施した後に、別部門の担当者によるチェックがなされていない場合もあります。正しい棚卸の実施の有無にかかわらず、当該誤りが発見される仕組み自体がない場合もあるわけです。

小野瀬 まずは、棚卸のルールを整備し、異なる部門間でのクロスチェックを行うことが非常に重要ということですね。

我々も会計監査上で、棚卸に立会う機会が非常に多いわけですが、前述のポイント以外に注意すべき点等があれば教えてください。

Ernest 棚卸結果を確認した際に、毎回棚卸差異が大きく出ている部門、逆にほとんどで出ていない部門については、棚卸自体が正しく行なわれていない、または一部カウントを行っていない可能性があり注意が必要です。

また、在庫リストに基づきカウントを実施する企業も多いと思います。棚卸の実効性を高める方法として、在庫リストには品目のみの記載にとどめ、帳簿上の数量はカウントする人には共有しない(教えない)等の工夫で、故意による棚卸結果の調整等を防止することが可能となります。

小野瀬 貴久
Onose Takahisa
Ernst & Young Vietnamのホーチミン事務所に勤務する日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、2006年からEYジャカルタ事務所、2011年よりEYベトナム・ホーチミン事務所に勤務。
ウェブサイト: www.ey.com