先日、ベトナムで最も尊敬する経営者の一人の方が日本へ帰国しました。本当に、ベトナムで活き活きと仕事をされていた方でした。

仕事に対してワクワク、ドキドキしているか

現代経営学の基礎を作ったドラッカーは沢山の名言を残しており、みなさんも様々な言葉をご存知かと思います。一方、経営者をコーチする立場として、様々な質問を残していました。

中でも私がとても好きな質問があります。その1つは、「今の仕事はすべてワクワク、ドキドキしてやっている仕事ばかりか?」というものです。実はこの質問は、1980年代にゼネラルエレクトリックのCEOに就任したジャック・ウェルチが就任直後にドラッカーに会いに行き、やり取りする中で質問されたことだそうです。

ジャック・ウェルチは市場で1番か2番の事業に集中し、それ以外の事業は収益が上がっていても売却か撤退をしたことで知られていますが、この戦略は先にあげたドラッカーからの質問によって導き出された戦略だそうです。

私がとても驚いたのは、ドラッカーがウェルチに言ったことは、1位か2位になるつもりのない事業からは撤退した方が良いというアドバイスではなかったということです。「ワクワク、ドキドキしてやっている仕事」というのは、一番大事だと思って運営している事業のことを指し、そう思っていない事業で出す価値は、顧客に対して失礼だというのが真意だったそうです。

経営者が大事に思う「源」が価値に

ドラッカーの「事業とは顧客の創造である」という言葉は、財務的な指標を目的とするのではなく、長期的な視点かつ、社会・顧客の立場から企業を眺めた名言です。顧客が価値を感じる“何か”を生み出すのは経営者が心の底から大事に思っている「源」からくるのです。

経営者として、この質問を常に自身に問い直すことで各々の会社独自の戦略や指標を生み出すキッカケになるのだと思います。

帰国した経営者はこのようなことを実践している人でした。

 

荒澤 文寛 Arasawa Fumihiro
株式会社ビジネスコンサルタント入社後、各国の責任者を経て、
ベトナム法人を立ち上げ。現ジェネラルダイレクター。
Business Consultants Vietnam Co., Ltd.
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