優秀な人材、高い技術によって
国内外の企業を幅広くサポート

日本企業向けのオフショアサービス、ベトナム国内企業向けのコールセンターサービスなどを提供する「トランスコスモスベトナム」。2014年の設立後、数年で拠点を増設し事業拡大を加速させる背景について、同社代表の香村氏に聞いた。

突出した企業の成長スピード
今、求められる人材サービス

――ベトナム進出の背景を教えてください

香村 ベトナムに進出した2014年以前、弊社の海外事業は中国と韓国が中心でした。今後は経済成長が著しい東南アジアでも市場を見つけたいと考え、ベトナムのほか、2013年はインドネシアに、ベトナムと同年の2014年にフィリピン、2015年はマレーシアと、一気に支社を開設して事業の拡大を図りました。

――本社をハノイに置いた理由は何ですか

香村 日本語人材がホーチミン市よりも多いだろうという判断があったからです。市場調査期間中にハノイ大学の日本語学部の教授と知り合い、人脈が作れたことも大きな理由の1つです。

開所後、多くの日本語人材とエンジニアを採用し、日本企業向けのコールセンターのオフショアサービスと、コンピュータ上で設計やデザインを行うキャド(CAD)を使ったエンジニアリングサービスから開始しました。その際、ハノイの人たちは非常に努力家だと感じましたね。知識を身につけながら業務を遂行しなければならず、残業も多かったのですが、一生懸命スキルを磨いて繁忙期にも対応してくれて、本当に有難かったです。

人工知能(AI)と機械学習の教師データを作成する「アノテーションセンターベトナム」

――ホーチミン市でもすでに2拠点を構えていますね

香村 オフショアサービスを提供するにあたり、ハノイに拠点を作ったのは良かったのですが、ローカル市場に向けて事業を拡大するには製造業以外の企業が集中するホーチミン市に拠点を置くべきだと感じ、早急に準備しました。

ホーチミン市では主にベトナム国内企業向けに、コールセンターおよびデジタルマーケティングサービスを提供しています。おかげさまで2年も経たないうちに第2センターを置くまでに事業規模が拡大しました。2019年はホーチミン市の第3センターを、オフショアサービスの提供が好調なハノイにも新しい拠点の計画が進んでいます。

世界で活躍する人材を育成
顧客体験の向上を強化

――「トランスコスモスベトナム」の強みを教えてください

香村 コールセンターやデジタルマーケティングといったサービスは通常、それぞれが企業として独立し、別々に提供されているケースが多いのですが、弊社はその両部門を持っています。顧客企業の認知度を高めるだけでなく、お客様がサービスを体験し、 それを拡散するに至るまでの一連の経験価値、カスタマーエクスペリエンス(CX)を一元管理してサポートすることが可能です。

2018年、クレジットカードの比較ポータルサイト「Comokun」を立ち上げた

――現在、感じている課題はありますか

香村 弊社ではチームを管理したり、引っ張っていけるマネジメント能力に長けたベトナム人材が少ない状況にあります。しかし最近は東南アジア各国の支社と協力しながら、能力向上に向けた取り組みを行っています。例えば、コールセンター事業が根付いたマレーシアやフィリピンからリーダー職の社員を呼び、ベトナム人リーダーを育成する研修を実施しています。

ほかにも、昨年から私自らが研修内容を考え、社員に直接指導する機会を設けました。アウトソーシングビジネスについて、損益計算書(PL)について、目標管理と現場管理についてなど、これまで私が経験してきたことを生かした内容になっています。

――今後の計画や目標を教えてください

香村 現在は1000人規模の企業ですが、2019年は1500人体制にまで成長させてサービス提供の拡大を図りたいですね。ベトナム国内の企業はカスタマーサポート面で、「よくある質問とその回答(FAQ)」の部分が弱いと感じています。FAQで動画を取り入れたり、問い合わせ対応ツール、チャットボットの導入を提案したりして顧客企業のCXの向上に貢献し、カスタマーサポートにかかるコストも抑制できればと思っています。

また、弊社のサービスは「人材」です。私たちがベトナムにどのような形で貢献できるかを考えた時、その1つがベトナム人を日本だけでなく世界で活躍できる人材へと育てることだと思っています。ビジネスを成功させるには、お客様の信頼を得るべくまずは課題を見つけ、解決するための提案を行う。しかし、様々な問題が起きたり、見つかったりします。その時に問題の原因をどれだけ深く追求し、どんな改善策を出すのか。これらをいかに早く、計画的に進められるかがとても重要です。日本人や東南アジアの人々と力を合わせて、それらに対応できるベトナム人材をどんどん育てていきたいですね。

COMPANY INFO
2014年3月、ハノイに「トランスコスモスベトナム」を設立。事業拡大のため、翌年10月に「ホーチミン市センター」、2017年3月に「ホーチミン市第2センター」、2018年8月に本社内で「アノテーションセンター」を開設した。2018年8月現在、アジアを中心に世界33ヶ国、173の拠点を持つ。
ジェネラルダイレクター 香村 洋平
YOHEI KOMURA
1970年生まれ、愛知県安城市出身。1994年にトランスコスモスに入社。コールセンター部門に配属となり、これまで東北エリアの責任者、東京のコールセンターの本部長などを務めた。ベトナム支社の設立に伴い当地へ出向となり、2014年4月より現職。