越の国の法律相談 No.041

ベトナムでは従前より、商品メーカーの直営店や正規販売代理店等の正規ルートを通さず、化粧品や医薬品等の商品が交流サイト[特にフェイスブックやザロ(ZALO)等のSNS]上やeコマースウェブサイト等で販売されているケースが多く見られます。

このような非正規品の販売は許容されるのでしょうか。

非正規品の販売に
関する罰則

昨年に施行された政令において、密売品のうち輸入商品は、次のように定義されています。非正規品はこれらに該当すると考えられます。
➀輸入ライセンスがない、または輸入条件を満たさない
②通関しない、または通関時に虚偽申告した
③インボイス等、法定の書類を添付せずに流通している
④輸入ラベル・スタンプがない、または偽造スタンプが押されている

非正規品を販売・運搬・保管・配送する行為は、行政罰金(たとえば販売行為であれば、商品価値に応じて50万~5000万VND)の対象となります。

個人が直接、商品を輸入した場合、非正規品が食品、医薬品、化粧品等である場合、販売者が組織である場合等には、行政罰金の金額は2倍となります。

さらには、組織的な犯罪や再犯の場合には、刑法上の密輸罪に該当する可能性もあります。

非正規品の販売に対しては近年、特に取締りが強化されているようです。個人であっても、自宅、当該個人が代表者となっている会社やその倉庫等で強制捜査を受け、その結果罰金を科されたり、非正規品が没収されたりしているケースが多数報道されています。

非正規品購入者に
関する罰則

非正規品の購入者に対しては、現在のところ、罰則規定はありません。

もっとも、非正規品の購入者が、他の者に転売すると、ビジネスというほどの規模ではなく、知り合いに個人的に譲ってあげたという場合でも、上記の罰則規定が適用されます。

また、旅行するときに不審な荷物のハンドキャリーを頼まれると、密売品の運搬に巻き込まれる危険があり、注意が必要です。

 

小林 亮 Kobayashi Ryo

日本国/NY州弁護士・ベトナム外国弁護士。東京オフィスで多数の東南アジア案件を担当後、2014年4月よりホーチミン市オフィス駐在。1年のアメリカ留学を経て、2019年9月に復帰。

電:(028) 6299 0666

TMI総合法律事務所 ホーチミンオフィス
メール:hochiminh@tmi.gr.jp
ウェブサイト: http://www.tmi.gr.jp