【ベトナム税務・会計】「移転価格税制」は難しい? 全体像と要点を押さえよう
賢者の税務・会計術 vol.044
こんにちは。AGSアカウンティングの堀切です。「堅苦しい税制を、少しでも身近なものへ」をテーマに、今回は移転価格税制の概要について解説をします。
移転価格税制をよりよく理解したい方は、最後までご一読ください。
「移転価格文書」の
作成が必要
「移転価格税制」とはベトナム固有の制度ではなく、国際的な租税回避の防止等を目的として、経済協力開発機構(OECD)により議論されている国際的なガイドラインの1つです。
日本やベトナムも、このOECDで作成されたガイドラインを基にした法令が規定されています。
ベトナムでは、「ベトナムで法人税の申告納税義務を有する会社・組織」が、「関連者」と「生産、商品販売、役務提供、その他の取引」を行う場合、移転価格税制の適用対象になると規定されています。適用対象となる場合は、「移転価格文書」の作成が義務付けられます。
法人税の課税更正が
行われる場合も
主に4つのポイントを理解する必要があります。
①「関連者」の定義
② 適用対象となる「取引」の範囲
③ 経済合理的な「取引価格」の算定
④「移転価格文書」の作成義務と免除要件
特に留意しなければならないのは、④「移転価格文書」の作成義務と免除要件についてです。法人がこの文書を作成していない場合、税務当局の推計による課税決定処分を実施することが法令により認められています。
また、「移転価格文書」を作成していても、「関連者」との「取引価格」が経済合理的な取引価格のレンジ(幅)より乖離し、かつ、法人税が不当に減少していると認められる場合に、法人税の課税更正が行われるため留意が必要です。
一般的に、移転価格税制を難しく感じる理由は、専門用語の多さや、制度趣旨そのものに曖昧さを残してる点があると考えられます。
次回は、本稿では説明しきれなかった各要点の詳細についても解説していきます。
なお、詳細な移転価格文書作成方法や、その取り扱い等については専門家への相談を推奨いたします。
日本国税理士。2012年よりベトナム常駐で会計税務業務へ従事。ベトナム赴任前は、東京の会計事務所にて多くの外資系企業へ日本国内税務業務提供。
【AGS Accounting Co., Ltd. ハノイ市事務所】
堀切 泰孝 Horikiri Yasutaka
ハノイ市事務所
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