クール宅急便で仕掛ける
食品流通プラットフォーム

2017年に「クール宅急便」をスタートさせたヤマト365エキスプレス。ベトナム国内での小口保冷配送がメインだが、今後は日越をつなぐ「食品流通プラットフォーム」を構築したいという。ヤマトロジスティクスベトナムのトップを兼務する松田社長が語る。

日本の宅配サービスを 東南アジアに積極展開

―― ベトナム進出について教えてください。

松田 2007年にハノイとホーチミン市に駐在員事務所を設立し、その後2015年2月に現地法人のヤマトロジスティクスベトナムをハノイに設立、5月にはホーチミン市に支店を設立しました。現在はフォワーディングなどの企業間物流が約7割、主に駐在員向けの海外引越が約3割です。

北部では特に中国の華南とハノイを結ぶクロスボーダートラック輸送を強みに、主に日系メーカーの機械設備や部材などの輸送を担っています。南部では小口保冷配送を強みに事業を強化したいと思っています。

―― 小口配送といえば、昨年からクール宅急便を始めました。

松田 はい。物流企業の365トレーディングロジスティクス(365エキスプレス)と合弁で、ヤマト365エキスプレスを2017年8月に設立し、9月から事業をスタートしました。ヤマトは近年アジア、特に消費地として魅力的な東南アジアに拠点を設立し、日本の宅急便のノウハウを活かした小口配送を展開しています。クール宅急便は東南アジアではシンガポ

ール、マレーシア、タイに続いて4ヶ国目になります。

クール宅急便の小口保冷配送は冷蔵帯(0~10度)と冷凍帯(マイナス15度以下)があります。現在は、日本からベトナムに輸入された高級食材や、ベトナム国内の生鮮食料品などを小売店やレストランに配送しています。混載配送なのでトラックに空きスペースが出るリスクはありますが、顧客開拓や配送ルートの組み立てで解消できるノウハウはあります。現在、日本からの一貫輸送の問い合わせを多くいただいています。

―― どのような特徴があるのでしょう。

松田 日本品質の高付加価値を持つ宅配サービスで、特に温度管理は徹底しています。タンソンニャット空港の近くに倉庫を持ち、日本からの輸入品はこの倉庫で仕分け作業してから配送します。また、使用する保冷剤、配達用バッグ、トラック、バイクなどは主にベトナムの日系メーカーと連携して調達しています。

昨年12月には小口保冷配送サービスの「PAS1018」の認証を取得しました。これは荷物の積み替えなどが発生する小口保冷の輸送業務に関する国際規格で、保冷庫などの温度管理や配送中の積み替え作業が規定されています。日本と同じ品質管理を行う小口の保冷配送サービスは、まだベトナムにないサービスだと思います。

中小企業を支援する プラットフォーム作り

日本と同クオリティのバイク、トラックで配送を行う

―― 配送するのは食材が多いのですね?

松田 その通りです。お客様もほとんどが食品メーカーさんですが、食品ならではの難しい問題もあります。例えば、ベトナムに進出したい日本の地方の食品メーカーさんは多くいますが、ノウハウや実績に乏しく、通関の手続きも複雑です。また、売り先が見つかっていないことも多い。物産展などに出品する場合でも、輸出するにはベトナム側の輸入業者が必要になります。
一方、合弁相手である365エキスプレスには通関のノウハウなどがあり、加えてグループ内に商社機能も持っているので、輸入業者の代行ができます。これらを活かせば、ベトナムでチャレンジしたい日本の中小企業を支援できると考えています。実際に弊社では、日本で集荷して日本側の通関を経て、フォワーディング、ベトナム側の通関、クール宅急便で目的地に配送するまでの一貫した配送サービスも提供しています。

―― ベトナム側のニーズはどうですか?

松田 日本料理店などの購買意欲は旺盛です。ただ、小口の輸入は単価が上がるので躊躇される方も多い。そこで両者をつなげる仕掛け、売りたい人と買いたい人をマッチングさせる、食品配送のプラットフォームを作りたいと思っています。
もうひとつ検討したいことはパッケージ化です。通関やフォワーディングなど各段階で価格が異なるため、我々がそれらをまとめて、お客さまに分かりやすく提供したいと考えています。中長期的な視点を持って、お客様と一緒に成長していきたいと考えています。

―― 今後の予定は?

松田 クール宅急便を2018年にダラットなどの中部、2019年にはハノイに展開したいと考えています。また、タイでは日系デパートの中にショップを作って、地方の特産品の販路拡大などの支援もしています。この形をベトナムでも実現したいですし、将来は食品以外の分野の保冷配送も進めたいです。
「ヤマトに頼めば安心できる」ベトナムでこのように信頼されて、クロネコマークをベトナム人の身近な存在にしていきたいですね。

COMPANY INFO
2017年8月にヤマトロジスティクスベトナムが地場物流企業の365トレーディングロジスティクス(365エキスプレス)と合弁で、ヤマト365エキスプレスを設立。食材を中心にクール宅急便の小口保冷配送を展開している。
取締役社長 松田 弘
MATSUDA HIROSHI
1969年生まれ。大学卒業後にヤマト運輸株式会社に入社。国際事業本部で海外引越などを手掛け、 2001~2008年に中国に駐在。2015年5月よりヤマトロジスティクスベトナム、2017年8月よりヤマト365エキスプレスの取締役社長。