賢者の税務・会計術 vol.047

こんにちは。AGSアカウンティングの堀切です。「堅苦しい税制を、少しでも身近なものへ」をテーマに、本稿では、ベトナム事業からの撤退について概要を解説します。
 
2022年の事業予算に加えて追加のシナリオ検討をされている方は、ぜひご一読ください。

撤退方法は2つ
閉鎖か売却か

ベトナム事業からの撤退方法は、主に2種類あります。①法律上の法人の消滅(閉鎖)と、②ベトナム法人の売却です。
 
主な相違点は、閉鎖による撤退は、主に税務調査等に時間を費やす一方で、法人売却は、買主との交渉にその大半の時間を費やします。
 
事業撤退は、利害が相反する労働者や税務当局、または買主候補と各種手続きを遂行します。撤退方法により、誰とどのような業務に時間をかけるのかが変化するため、事前に概要を把握することが重要です。

新規会社設立より
大変な会社閉鎖

ベトナムで会社設立をする場合は、外資法人であると3~6ヶ月程度かかります。主に、各種書類の作成、公証手続、領事合法化手続、ベトナム語への翻訳手続き等に時間を費やします。
 
他方で、会社閉鎖をする場合は、一般的には、IRCとERCの返納手続きに1年程度(またはそれ以上)かかります。主に、労働者との雇用契約の整理、取引先との債権・債務の整理、加えて、税金債務の履行確認のための税務調査等に時間を費やします。

売却の課題は買主
探しと譲渡内容

売却による撤退の最大の課題は、買主候補企業を探すこと、及び、買主候補と譲渡契約内容の各種調整です。特に重要なポイントは、過去期間の未払税金債務の有無や将来の税金債務リスク評価です。
 
ベトナムの税務実務を考慮すると、税務債務リスクを合理的に金額評価することは難しいものの、譲渡契約金額で増減調整できる場合は、各当事者にとってより良い選択肢になります。
 
詳細な事業撤退方法やその取り扱い等については専門家への相談を推奨いたします。

日本国税理士。2012年よりベトナム常駐で会計税務業務へ従事。ベトナム赴任前は、東京の会計事務所にて多くの外資系企業へ日本国内税務業務提供。
【AGS Accounting Co., Ltd. ハノイ市事務所】
堀切 泰孝 Horikiri Yasutaka
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