信頼関係の構築や活発な交流に効果あり

グローバル企業やベトナムの大手企業では、人材開発部門等の講師、若手育成担当のOJTリーダーなど、社内の教育担当者が社員教育を行っています。

これらの役割を持つ人を一般的に「トレーナー」と称します。社内でトレーナーを育成する理由の1つは、「社内事情に精通し、効果的な教育が可能」だからです。

最近は“教える”風土づくりや、社内の新たな人材活用、受講者同士のコミュニケーションの活発化等の効果も期待されています。

また、トレーナーは社内の「社会関係資本」の強化を促進する役割を担うことができます。

社会関係資本とは、社内における人との強いつながりや信頼関係のことを指します。社会関係資本を高めることで、企業価値が向上し、他社との差別化が図れると言われています。

先日、社会関係資本を研究されている先生と意見交換をする機会がありました。

「元来、日本の組織では、仕事を通じて相互に厳しくやりとりをしたり、仕事以外の飲み会やレクリエーションを通じて人とのつながりや信頼関係が生まれていた。今は社会関係資本を作るために、意図的に人事配置をしたり、非公式な交流を設定したりすることが求められている」と、おっしゃっていました。

教育・指導に限らず潤滑油の役割も

希薄になったコミュニケーションや信頼関係を主体的に組織内に生み出す、または生み出すための組織作りに取り組む企業が日本のみならず、ベトナムでも増えてきています。

社内研修は、部門や部署を超えた交流が図られ、様々な情報交換がなされる場です。現場での実務指導だけでなく、社内の好事例や失敗事例を共有することができます。

また、特定の分野や専門知識の教育・指導だけをトレーナーの役割と限定せず、社員同士のコミュニケーションの活発化などの副次的効果をもたらすことも期待されています。

 

荒澤 文寛 Arasawa Fumihiro
株式会社ビジネスコンサルタント入社後、各国の責任者を経て、
ベトナム法人を立ち上げ。現ジェネラルダイレクター。
Business Consultants Vietnam Co., Ltd.
電:024-6269-6162
E-mail:vietnam@bcon.co.jp