ジェンダー等に関する
行政罰金額の大幅な引き上げ

ベトナムでは遺産を分割する際に、男子に多く女子に少なく分ける傾向や、男女間の所得格差など、男性優位主義、ジェンダー不平等の状況が未だにみられます。このようなジェンダー不平等の状況を改善するため、ジェンダー平等実現のための政策や法整備が行われてきました。

直近では、ジェンダー平等に関する行政違反処分に関する政令が改正され、行政罰金額の大幅引き上げ等がなされました。

労働分野から家庭内まで
行政罰金が引き上げ・追加

以前は行政罰金額の下限は20万VNDでしたが、新しい政令では50万VNDに引き上げられました。

労働分野においては、性別に基づく業務分担により所得格差を生じさせる使用者の行為について、行政罰金額が300万~500万VNDから1000万~1500万VNDに引き上げられました。

また、性別による差別的な労働分野の社内規則及び規制を確立・実施した使用者の行為には、2000万~3000万VNDの罰金が科されるという規定が追加されました。

家庭内のジェンダー不平等については、親族のうち特定の性別の者に対し、労働強制、避妊具使用強制、不妊手術強制の行為について、行政罰金額が従来の50万~100万VNDから500万~700万VNDに引き上げられました。

ジェンダー平等の世の中が早く到来することが期待されます。

 

小林 亮 Kobayashi Ryo

日本国/NY州弁護士・ベトナム外国弁護士。2014年4月よりホーチミン市オフィス駐在。1年のアメリカ留学を経て、2019年9月に復帰。2022年1月パートナー就任。

TMI総合法律事務所ホーチミン市オフィス
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