在越子会社から在日親会社に
配当する場合の課税関係

ベトナムの子会社・孫会社から親会社に資金を還流する方法はいくつかあります。今回は日系企業によくある、①在越子会社から在日親会社に配当を行う場合と、②在越孫会社から在越子会社に配当を行う場合について、それぞれの課税関係をご説明します。

在越子会社が在日親会社に配当を行う場合、受取配当に対して日本で法人税が課されます。このとき、外国子会社配当益金不算入制度が存在するため、日本の親会社が当該在越子会社の発行済株式等の25%以上を保有しているなど、一定の要件を満たす場合、配当の95%は非課税とすることができ、配当の5%のみが法人税の課税対象となります。

また、通常海外子会社が日本の親会社に配当を行う場合、海外で源泉税がかかる場合が多いのですが、ベトナムの場合は源泉税がかかりません。日越租税条約上は、ベトナムで10%の源泉税の課税権があるものの、ベトナムの国内法では源泉税はゼロと定められているためです。

在越孫会社から在越子会社に
配当をする場合の課税関係

在越親子会社間で配当を行う場合には、通達123号の8条6項によると、在越親会社が受け取る配当金は非課税所得とされています。したがって、在越孫会社から在越子会社を経由して在日親会社への資金還流を行う場合であっても、かかる税金は上記と同様となります。

西川 貴陽 Nishikawa Takaaki
公認会計士(日本・米国)、日系企業担当インドシナ副統括ディレクター。EY新日本有限責任監査法人にて、監査業務や株式公開支援業務、財務デューデリジェンス業務に従事後、2016年よりEYベトナムに赴任。
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