ベトナムにおける
連結財務諸表の作成義務

最近ベトナムでも、買収等により、日系在越子会社が現地企業を子会社化するケースが増えています。今回は現地企業を子会社化した際に、在越子会社側で連結財務諸表の作成が必要かどうかについてご説明します。

ベトナムにおいて連結財務諸表を作成する必要がある企業は通達202号の5条に規定されており、親会社は原則、連結財務諸表を作成する義務があるとされています。

しかしながら、同条2項には作成免除の条件が規定されており、①国営・公益企業ではないこと、②持分・負債証券を市場で発行していないこと、③親会社株主が作成免除に同意していること、④親会社を所有する会社がベトナム会計基準に従い連結財務諸表を作成・公表していること、などを全て満たす必要があります。

この点、在越子会社にとって、在日親会社が④の条件を満たすことは現実的ではないため、作成免除に該当する可能性は低いと考えられます。

連結財務諸表は
法定監査の対象にも

外資系企業は政令17号の15条1項に従い、法定監査の対象となります。同条4項には連結財務諸表を作成する場合は、当該連結財務諸表についても監査を受ける必要があることが定められています。そのため、在越子会社が連結財務諸表を作成する場合は法定監査対象となります。

西川 貴陽 Nishikawa Takaaki
公認会計士(日本・米国)、日系企業担当インドシナ副統括ディレクター。EY新日本有限責任監査法人にて、監査業務や株式公開支援業務、財務デューデリジェンス業務に従事後、2016年よりEYベトナムに赴任。
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