ベトナムにおける社会保険
外国人の加入義務

2018年12月より、外国人もベトナムの社会保険への段階的な加入が義務付けられました。2022年1月からは、従前の疾病給付金、妊娠出産給付金、労働災害・職業病給付金に加え、退職年金や遺族給付金に対応する保険料の支払い義務が生じています。

基本給に手当などを含めた給与額(上限:公務員の最低賃金の20倍まで)に、種別ごとに定められた保険料率(合計25.5%、うち会社負担17.5%、個人負担8%)を乗じた保険料を納付します。

ただし、日本の親会社から子会社に出向する場合などの社内異動の定義に該当する場合には、社会保険の加入義務はありません。

社内異動の定義と免除されるケース

政令11号3条1項によると、社内異動とは、①外国企業がベトナムに設立した商業拠点に一時的に異動、②ベトナムに商業拠点を設立した外国企業で12ヶ月以上の雇用、の2点を満たす異動を指します。

①は、直接の親会社から出向している必要があると解されます。例えばベトナム企業の在シンガポール親会社の在日本親会社からの出向や、その他の兄弟会社からの出向は、社内異動ではないと指摘されるケースがあります。

直接の親会社以外からの出向の場合には、保険料の納付を求められるリスクがありますので、注意が必要です。

西川 貴陽 Nishikawa Takaaki
公認会計士(日本・米国)、日系企業担当インドシナ副統括ディレクター。EY新日本有限責任監査法人にて、監査業務や株式公開支援業務、財務デューデリジェンス業務に従事後、2016年よりEYベトナムに赴任。
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