1991年にハノイとホーチミン市に駐在員事務所を開設し、2016年に現地法人となったベトナム三菱商事。今年4月にJBAH(ホーチミン日本商工会)の会長となった門脇ホーチミン市支店長に、仕事と会長職について聞いた。

5年で変わる主力事業

General Manager ホーチミン市支店長 門脇恵一

―― 業務内容を教えてください。

門脇 ホーチミン市支店では貿易と投資が中心です。貿易は石油などのエネルギー、化学品、発電所などで使う機械、生鮮品や水産加工のような水産、コーヒーなどの農産、紙やタイヤなどの資材です。
 投資では自動車、エレベーター、不動産、加工食品、水産養殖、衣料品製造、樹脂製造、バッテリー製造など、日系とローカルの約15社に出資。パートナー企業には原料調達、製品販売、経営サポートなどの形で協力しています。
 一方、北部の本店では火力発電所やインフラ、都市開発などの大型プロジェクトが中心です。

―― 携わる業界が幅広いですね。

門脇 総合商社はどこも同じでしょうが、例えば事業分野が100あったとして大きな収益を上げているのは10程度。商品やビジネスにはライフサイクルがあるので、残りの90の中から次世代の10が生まれたり、全く新たな事業を始めることもあります。

ベトナムの場合は5年前と比べても、扱う商品の品揃えや投資する事業会社が変化しています。そのため、常に現在のビジネスの応用系や進化形、あるいはまったく別の商材やビジネス、他国のビジネスのベトナム展開などを考えています。仕事の3分の2は現状のビジネスの維持や拡大を進め、3分の1はこうした新ビジネスの発掘を考えていますね。


ベトナム三菱商事ホーチミン支店のスタッフたち
手にしているのは各自が担当する商品やその模型

―― 市場はどう変化していますか?

門脇 これまでベトナムは主に原油、コーヒー、水産など原料調達の地でしたが、今後は市場してより強くとらえられるでしょう。例えばLNG(液化天然ガス)の輸入です。ベトナムの発電は水力、石炭火力、自国の天然ガス火力が3本柱ですが、国産ガスの産出量が減りつつあります。

そこで将来はLNGを使った火力発電が必要と見られており、2010年ごろから政府と検討しています。実現すればLNGの輸入と共に、LNG火力発電所建設のノウハウも求められます。

―― 駐在は米国、カタールに続いて3ヶ国目とか。

門脇 はい。ベトナムが一番親日で、仕事も生活も障壁が低いですね。産油国も親日ですがレベルが違います。ビジネスは売上も取引先も投資額も全体的に拡大しており、ベトナムを市場とするビジネスを弊社も増やす見通しです。

JBAHで3つの深化

―― 4月からJBAHの会長です。

門脇 スローガンを「深化ー1000 and beyond」としました。現在のJBAHの会員数は905社(5月15日現在)と、上海、バンコクに続いて、在外日本人商工会議所で世界3位の規模になりました。1000社はもうすぐで、そのためには進化ではなく「深化」が必要だと感じました。

まず会名の深化です。今年上期中にも「ホーチミン日本商工会議所」(JCCH)に変更されます。JBAHのBAは「Business Association」の略称ですが、外国人には意味が伝わりにくく、「え?」という顔をする方もいるんです(笑)。ですので、世界的に使用されている「Chamber of Commerce and Industry」(CC/CCI)に変えます。ハノイのJBAV(ベトナム日本商工会)も、JCCI(ベトナム日本商工会議所)となる予定です。

―― 1000社を見据えてということですね。

門脇 はい。次が事務局体制の深化です。部会長や実行委員長の方はこれまで、名簿の変更や会議の招集、懇親会の手配までを自分で進めてきました。意外に時間と手間がかかるもので、中には会員企業が100社を超える部会もある。

そこで事務局のスタッフを増員して、こうした作業をサポートし、皆さんには本来の役割に専心していただきたいと思います。将来は事務局スタッフが会員企業に個社ベースで会って、お話を聞けるようになれば理想ですね。

最後が交流・ネットワークの深化です。「商工会をビジネスに活用したい」という会員企業の要望は以前からあり、その声が大きくなってきました。それに応えたいと思います。

―― 組織の特性から、ビジネスマッチングの場としての活用にはこれまで慎重でした。

門脇 そうです。ですので、今年度はまずアイデアを出していきます。例えば、気軽に立ち寄れるフラットな関係での、ビールとつまみだけの異業種パーティ「ふらっとJBAH」。自社のパンフレットなど持込み自由な立食パーティ「JBAH会員ビジネス交流名刺交換会」。業種が異なる複数の部会を集めた、合同部会や交流会の開催も考えています。

交流という点ではJBAVや他国の商工会議所との交流、スポーツ・文化活動を通じた会員とそのご家族を含む交流なども進めていきます。

会長としてまだ何ができるかわかりませんが、結果を恐れず、トライアルでやってみようと思います。期待してください。

KADOWAKI KEIICHI
General Manager ホーチミン市支店長
門脇恵一

1964年生まれ。大学卒業後、三菱商事株式会社に入社。主に石油部門に携わり、1997~2002年に米国ニューヨーク、2010~2015年にカタールのドーハに駐在。2015年にベトナムに赴任して現職。2017年4月よりJBAH会長。

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