日本を中心にアウトソーシング(オフショア開発)先として成長を遂げてきたベトナムIT産業。エンジニアが取り合いになるほど好景気の中、新しい波も生まれている。業種、職種、ポジションの違う多くの人たちが、それぞれの立場で語る。
 
 

2002年に設立されたベトナムソフトウェア協会(VINASA)は、日越間のIT産業の推進と発展に尽力してきた。毎年「Japan ICT Day」などを開催する同協会が、ベトナムIT業界と日本を語る。

一般的なオフショアが減少 新しいトレンドで協力開発

VINASAは日越IT業界のイベント「Japan ICT Day」を2007年にハノイ、ホーチミン市、ダナンで開催。その後毎年行われ、11回目の今年はホーチミン市とダナンで合計400人以上が参加した。その他、毎年2月に東京で開催する「VIETNAM IT DAY」も主催し、毎年約150の日本企業が参加するという。日越の企業サポートも実施している。

両国の関係を見てきた同協会によると、オフショア開発で日本企業の戦略パートナーになったことがベトナムIT市場の成長率を引き上げ、2014年にはインドを超えて、中国に次ぐ第2位の地位になったという。近年では日系企業の進出も多く、ベトナムのITに投資する日本企業は増えると考えている。

VINASAとその下部組織であるVJC(日越IT協力クラブ)の会員約50企業へのアンケートによると、2016年には一般的なオフショア開発の案件が減り、前年の9割から8割へと減少。その一方で、プロダクト開発やソリューション、特にIOT、ビッグデータ、AI、クラウド、ロボティクスの案件が増えているそうだ。

今後はこうした新技術を用いた最新トレンドが案件の中心になり、両国が協力する機会を増やし、新しい形に変わっていくと見ている。そしてそれは、日越両国の企業が実感しているという。実際、2016年には研究・開発の協力案件が23,3%から42,1%に上昇したという。

技術スキル以外の課題 質の高い教育が必要

ベトナム情報通信省の2017年版白書によると、2016年には国内の大学250校、専門学校469校でIT、通信、電子、セキュリティの教育をしており、合わせた入学募集生徒数は7万人弱になっている。また、ソフトウェアとITサービスに係るエンジニアは約22万人おり、2020年までに100万人にするという目標があるという。

「ベトナムはIT人材が豊富で、品質は向上しており、勤勉さも日本人のパートナーに高評価されています。ただ、改善すべきは理論的な思考力とチームワーク、日本企業の場合は専門スキルと共に求められる日本語能力でしょう」

そこで、ベトナム側として一番重要になるのが質の高い人材の教育。例えば、両国の開発をつなぐブリッジSEは払底しているが、こうした人材を輩出することが急務ださそうだ。

日本情報サービス協会(JISA)によると、2030年までに日本では、約60万人のITエンジニアが不足するとのこと。こうした中で、数学的な才能や技術を学べる能力を持ち、勤勉なベトナムの若い人材は、日本のITリソース不足を満たせるという。

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