在越日系企業の力強い味方。それが同じ日系の公的機関だ。
大使館や総領事館はもちろん、ベトナムにも企業を支援する機関が数多くある。
一方、「敷居が高い」や「うちとは関係ない」と足を運ばない方も多いのでは?
今回は主たる支援内容を各機関にアピールをしてもらった。

 

在外日本商工会で世界3位の規模となった、ホーチミン日本商工会(JBAH)。会員の声を集めて事業・生活環境改善を目指す「ラウンドテーブル」や、セミナーでの「情報提供」等を通じて日系企業を支援する。

ラウンドテーブルで交渉 その後の経過も会員へ

ラウンドテーブルとは1年に一度行われる、JBAHとホーチミン市人民委員会との対話の場のこと。会員企業から法務・労務、税務・通関、生活環境のテーマ別に意見や改善要望を集め、JBAHが要望書の形にまとめてホーチミン市人民委員会へ提出、交渉する。

ホーチミン市人民委員会と2017年度JBAH執行役員

「今年度は180件の意見・要望を14の新規要望事項に集約して、9月に要望書を提出しました。加えて、過去2年間の要望事項に対する改善状況について、34項目のフィートバックを提出しました」

14項目の中には例えば、「行政から罰金を課される場合の具体的な金額の、決定基準の明確化」を求める内容の他、「ゴミ捨てのマナー改善」など生活環境に関する要望が一番多かったという。これらの要望事項は今後12月にかけて交渉を進めて改善を図る。

また、要望の実現状況を会員企業と共有するため、今年1月からはラウンドテーブルのフィードバックセミナーを開催し、「その後の経過」を会員に伝えるようにした。今後も定期的に開催していくという。

「ラウンドテーブルは多くの企業の声を集約するので、様々な課題を一般化して要望することになります。そこで、今後は会員企業各社と人民委員会各部局との、個別の意見交換ができる場作りも重要だと思います」

事業・生活に役立つセミナー 今後はビジネスマッチングも

税関総局から担当者を招いたセミナー

情報発信の中心的な場はセミナー。法律の制改定や実務上の重要ポイント等の各種情報を、会員向けセミナーで提供している。およそ労務系が年に2回、税務系が年5回、医療、健康、安全などの生活環境系が年2回で、その他様々なテーマでも適宜開催。時には行政の担当者が講師を務めるセミナーもあり、平均で月に1回ほど開催。JBAHの活動についてはFacebookでの投稿や月1回の会員向けメルマガ「マンスリーレポート」などで配信中だ。

今後は会員同士の交流にも注力する予定だ。各部会では同業種が集まるが、他業界との交流を求める声も多く、早ければ10月から試験的に異業種交流会を開く。

「ラウンドテーブル等を通じて会員企業共通の課題である事業・生活環境が年々改善され、ホーチミン市の経済が成長して様々な業種の日系企業が当地に進出する中で、会員のニーズも変化しています。それに応えていくのも我々の役目だと思います」

JBAHの会員は923社(2017年9月現在)で、在外日本商工会では上海、バンコクに続く世界3位の規模となった。

「JBAHは当地に進出している日系企業、在住日本人の皆様の様々な課題を、会員の皆様と改善・解決することを目指す組織です。お困りごと等があった際はご連絡ください」