撮影:大池直人

株式会社トリドール・Lotus Food JSC

ベトナム人で賑わう丸亀うどん、パートナーとの快進撃

 

2014年1月に「丸亀うどん」1号店を開店。2号店、3号店に続き、今年4月には4号店を出店した。5号店も予定しており、5年後の30店舗が目標だ。ベトナム事業を担った、ローカル企業も快進撃を支えた。

 

賭けだったベトナム進出

ベトナムの丸亀うどんの店舗 (写真提供:Toridoll V Lotus)

1店舗当たり、1日平均約1000人が来店するという丸亀うどん。約95%がローカル客とのことだが、確かにいつもベトナム人でいっぱいだ。釜あげうどん(並)が3万9000VNDという価格設定も魅力だが、ベトナム向けの味付けが評判を呼んでいるようだ。山本氏はこれを「味の現地化」と呼ぶ。

「讃岐うどんは麺のこしの強さが特徴ですが、ベトナムでは柔らかい麺が好まれるので、あえてこしを弱くしました。また、日本のものより塩分を控えめにしています。ベトナム人は塩気に敏感で、試食でも塩辛いと言われましたから(笑)」

ベトナム進出の理由は市場の成長性。トリドールは日本国内に様々な業態の約850店(2015年4月現在)を持つが、市場の飽和を感じ、海外1号店である「ワイキキ店」(ハワイ)を2011年に出店。その後、現在まで約100店舗を海外展開しており、特に東南アジアを有望市場と見ている。

とはいえ、ベトナム進出は「賭け」だったそうだ。
「フォーという国民食が既にあるのに、タイプの違ううどんが受け入れられるかという議論がありました。ただ、フォーを『麺食』と位置付ければ、同じ麺としてうどんの入る余地もある。こうしたポジティブな発想で出店したのです」

 

2社の共同作業でベトナムの繁盛店に

売れ筋商品のスパイシーポークうどん (写真提供:Toridoll V Lotus)
売れ筋商品のスパイシーポークうどん
(写真提供:Toridoll V Lotus)

2013年9月、トリドールから数名が来越し、うどんの作り方、食材の調達、接客方法、オペレーションなどのトレーニングを行った。その一人が山本氏だ。2014年1月1日のオープンまで時間がなかったが、その間にベトナム人スタッフ4人を日本に1ヶ月派遣するなどして開店に備えた。功を奏してローカル客向けの戦略は成功し、その後、立て続けに出店することになる。

「ベトナムはインフラ事情があまりよくないので、物流システムの構築やセントラルキッチンの設置が難しく、コールドチェーンに困っている会社も多い。そのため弊社では、冷凍・冷蔵などの温度管理ができるトラックや、食品加工工場を持っています」(Van May氏)

「食材の調達が大変でした。ベトナムの畜産業は発展途上にあり、牛肉と鶏肉は輸入品に頼らざるを得ない状況です。国内自給率の高い豚肉と野菜に関しては現地調達です。輸入食材は、コストの問題もあってなるべく避けるように心がけていますが、どうしても必要な場合は、関税の低い東南アジア域内での調達を心がけています」(山本氏)

 

今後は「安全、安心、健康」

左:TRIDOLL V LOTUS Managing Director 山本隆之氏
右:TRIDOLL V LOTUS Chief Executive Officer Ms. Le Van May

現在両社は、合弁会社の設立に向けて準備を進めている。トリドールは相手国の事情や法律に合わせて、合弁やフランチャイズなど進出方法を決めており、ベトナムの場合は当初から合弁会社を考えていたという。リスクシェアができるし、事業支援ではなく共同経営のパートナーとなるからだ。

「1月から独資での進出が可能になりましたが、海外展開には現地パートナーの協力が欠かせません。特に東南アジアはシステムというより人的な要素で物事が進むことが多いので、パートナー企業選びが大切です」

Van May氏は、味覚、価格、雰囲気など進出国の市場調査は必須と語る。ベトナムには若い人が多いため、目新しいものに興味を示し、最初は人気になることも多い。しかし、彼らの何割が再来店するのか。このリピーターを増やすのが大変なのだという。

「独資参入のため手続中の企業があるとも聞いています。ただ、その参入スタイルだと、ベトナム市場を綿密に調べるのが大変です。よいパートナーを見つけて組んだ方がベターだと思います」(Van May氏)

ロータスグループのスタッフは全国に約1300人。現在は食品加工の第2工場を建設中であり、今年中に約2000人にまで増やす予定だそうだ。パートナーとして日系企業からの信頼を得ているからこそのことだ。そんな彼女が考える今後のベトナムの食のトレンドは、「安全、安心、健康」という。

「欧米の企業も見てきましたが、食の安全に関しては日本がナンバーワン。弊社も『日本基準』だから評価されているのでしょう」

「外資系外食チェーンのベトナム進出は増えるでしょう。同じ東南アジアでも、例えばタイはある程度成熟していますから。この魅力的で熱い市場に、どの分野の外食企業も目を付けているはずです」(山本氏)

 

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