我らの味方!
日系公的機関の利用術
在越日系企業の力強い味方。それが同じ日系の公的機関だ。
大使館や総領事館はもちろん、ベトナムにも企業を支援する機関が数多くある。
一方、「敷居が高い」や「うちとは関係ない」と足を運ばない方も多いのでは?
今回は主たる支援内容を各機関にアピールをしてもらった。
今年2月、16番目の海外事務所として、日本政府観光局(JNTO)のハノイ事務所が開設された。主な事業はベトナム人観光客向けの訪日プロモーションだが、その業務内容を見てみよう。
大都市で年に1回 日越関係者の商談会
2016年はベトナムからの訪日旅行者数が初めて20万人を超え、過去最高の約23万4000人となった。政府目標の「2020年までに訪日外国人旅行者数を4000万人に」もあって、JNTOではベトナムでの訪日プロモーションや観光情報の発信を強化している。
ただ、そこには日本サイドの協力が欠かせず、ベトナム人観光客誘致のために日本の自治体や、航空会社、旅行会社、宿泊施設等の観光業界に対して日越のビジネスマッチングを提供。それが「ビジット・ジャパン(VJ) セミナー・商談会」であり、2013年から1年に1回程度、ハノイ、ホーチミン市、ダナンで開催している。
「ベトナム市場への取り組みは比較的新しく、2012年から本格的にビジット・ジャパン事業を行っています。当所の開設前はバンコク事務所が担当していました」
その内容は日本への送客を考えるベトナムの旅行会社や航空会社向けにセミナーと、ベトナムからの観光客誘致を考える日本の自治体、観光業界関係者との商談会。日本側の参加者に対しては商談会に先立ち、ベトナム市場の最新情報や商談時の注意点などを説明するセミナーも開催する。規模は各都市で異なるが、日越各20~40団体が参加するそうだ。
今年7月にはダナンで開催され、10月にはハノイ、2018年1月にはホーチミンで開催予定だ(募集は既に締切り)。ちなみに費用は1万円程度という。
相手が欲する情報を提供 追い風の中で可能性大
高橋氏によれば、特に新興市場のベトナムでは、日本側の「見せたいもの」とベトナム側の「見たいもの」は必ずしも常に一致しないという。ベトナム人観光客と訪問される日本側の満足度を上げるには、ベトナム人のニーズをとらえた旅行商品が必要で、そのためにはベトナム側との信頼・人間関係の構築が欠かせないそうだ。
「セミナー・商談会をその端緒として、有力な旅行会社が欲している日本の情報を提供することが肝心です。参加された方からは、『市場の可能性を見極めるためにも、一度で多くの旅行会社と会える商談機会は貴重』といった意見を多くいただいています」
JNTOハノイでは、ベトナムの日系航空会社や旅行会社等と提携した訪日旅行販売促進キャンペーンを、季節ごとに展開している。10月末からも新しいキャンペーンが始まる予定だ。
「多くのベトナム人が『一度は日本へ行きたい』と憧れを持ち、ビザの緩和や所得の増加等でその夢が実現しています。この追い風の中で今、無限に可能性が広がっていると感じています」
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