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ベトナムの法律は一筋縄ではいかない。
日本と異なる法体系や頻繁な法改正があるからだ。
頼りになるのは法律事務所や会計事務所だが、敷居が高いと感じる人も…。
そこでSKETCHPROが協力。
日系企業が困りがちな具体例を作り、各専門家に回答をいただいた。

執筆ご担当(50音順)
AGS / DFDL Vietnam / EY ベトナム / TMI総合法律事務所
アンダーソン・毛利・友常法律事務所 / 長島・大野・常松法律事務所
 
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Q. 従業員のための個人所得税や親会社のための外国契約者税など、ベトナムでは支払う税金が多くてよくわかりません。これらの税金についてわかりやすく解説していただけないでしょうか。

A. まず税金の基礎を押さえましょう
最初に個人所得税について説明します。納税義務者は居住者と非居住者に区分され、課税範囲と税率が異なります。居住者の課税年度は、原則として、暦年内にベトナム国内に183日以上滞在していれば、当該暦年となります。税率は課税所得のレベルによって5~35%に分かれます。基礎控除は月に900万VND、扶養控除は扶養者1人に付き月360万VNDです。

非居住者もベトナムで国内源泉所得が発生すれば納税義務が生じ、その給与所得の税率は一律20%です。

最後に、日本の所得税法による税率は5%~40%です(平成19年~26年分)。これに加えて日本では、住民税として一律10%の納税も必要です。これらの点からは、ベトナムの個人所得税の税額が特別高いわけではないとも言えます。

次に外国契約者税(FCT)についてです。FCTとは、外国契約者がベトナム側契約者と締結した契約に基づき、ベトナム国内において提供したサービスから得た所得に対して課せられる税金です。法人税部分と付加価値税部分から構成されています。

税負担者は外国契約者で、納税義務者はベトナム企業となるのが通常となり、サービスごとにみなし法人税率(CIT)と、みなし付加価値税率(VAT)を適用します。例として、一般的なコンサルティングサービスの税率はCITが5%、VATは5%となります。

法人税部分は、国際的な二重課税排除のため、多くの外国契約者は自国の確定申告時に外国税額控除を適用できます。付加価値税部分は、ベトナム企業において仕入れVATとして控除できます。これら控除をスムーズに行うため、商流の検討段階から専門家に相談しながら進めることをお勧めしています。

回答者 : AGSホーチミン事務所 公認会計士 吉田俊也