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ベトナムの法律は一筋縄ではいかない。
日本と異なる法体系や頻繁な法改正があるからだ。
頼りになるのは法律事務所や会計事務所だが、敷居が高いと感じる人も…。
そこでSKETCHPROが協力。
日系企業が困りがちな具体例を作り、各専門家に回答をいただいた。

執筆ご担当(50音順)
AGS / DFDL Vietnam / EY ベトナム / TMI総合法律事務所
アンダーソン・毛利・友常法律事務所 / 長島・大野・常松法律事務所
 
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Q. ベトナムの税務署が査察にやってきて、調査の結果、追徴課税と判断されました。多額な追徴を支払わなくてはならないのですが、弊社は税金逃れの工作などしておらず、困惑しています。対処法はあるでしょうか?

A. 税務調査の指摘が絶対ではありません
税務調査や税関調査において、莫大な金額を請求されるという事例が頻発しています。これには、そもそも税務当局が理不尽な指摘を行っている場合と、会社の税務処理に非があって指摘がなされる場合があります。まずは、どちらに該当をするのか適切に見極める必要があります。税金は法令に従い課税されるので、根拠のない課税は存在しません。理不尽な指摘が疑われる場合には、まず根拠の提示を求めましょう。

一方で、適正に処理を行っている認識でも、ベトナムの税務は複雑であり、曖昧な規定も多数あります。結果として誤った処理を行い、多額の支払を求められるケースも散見されます。このような場合は、規定の適切な解釈、反論文書の作成、交渉を行う必要があります。

またベトナムでは、裁判まで実施しなくとも、税務調査の結果に対する救済手段が整備されています。税務調査は、まず直轄市や省の税務当局にて実施されて、判断が下されます。最初の交渉窓口はこの地方の税務当局になりますが、企業がその判断に不服がある場合は、税務総局(GDT)等に上訴することも可能です。

地方の税務当局の判断を不服としてGDTに上訴し、そのGDTの担当者と交渉を行うことで、判断が覆った例も多くあります。地方の税務当局の判断が絶対という訳ではなく、その後の道も存在するわけです。

しかしながら、このような事態を避けるためには、事前対策として常日頃から税務に関する情報収集に努め、適切な管理を行い、税務調査で付け入る隙を作らないことが大切です。ベトナムの税務調査は非常に不合理であるという意見もありますが、適切な管理を行うことで、税務調査での指摘事項がない企業も多数あります。

回答者 : EYベトナム 公認会計士 小野瀬貴久