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ベトナムの法律は一筋縄ではいかない。
日本と異なる法体系や頻繁な法改正があるからだ。
頼りになるのは法律事務所や会計事務所だが、敷居が高いと感じる人も…。
そこでSKETCHPROが協力。
日系企業が困りがちな具体例を作り、各専門家に回答をいただいた。

執筆ご担当(50音順)
AGS / DFDL Vietnam / EY ベトナム / TMI総合法律事務所
アンダーソン・毛利・友常法律事務所 / 長島・大野・常松法律事務所
 
P16
Q. 製造業に従事していますが、中古の機械、設備、生産ラインの輸入について、ベトナムでは規制が厳しくなると聞きました。その概要と問題のポイントを教えてください。また、この規定はいつ頃施行されるでしょうか。

A.「10年超」などには例外規定があります
最近話題の中古の機械等の輸入規制とは、具体的には中古の機械等が、①製造から10年を超えていないこと、そして②ベトナム国家技術基準・国家規格または安全・省エネ及び環境保護に関するG7各国の同等の基準に基づき製造されたものであること、という2つの要件が満たされない限り、ベトナム国内への輸入は原則として認めないというものです(通達第23/2015/TT-BKHCN号の第6.1条)。

しかし、日本製の中古機械には製造から10年以上を経ても性能に問題がないものも多く、実際にこのような中古機械を用いた投資プロジェクトを計画している日系企業も少なくないと思います。こうした日系企業は、上述の原則に対する「例外規定」の適用を検討しましょう。

すなわち、通達23号では、投資登録証を取得する必要がある案件において、投資家が新規または追加投資のための投資登録証の申請手続の際に、使用する中古の機械等の一覧も提出し、これについて当局が投資法に基づいて投資登録証を発行すれば、上述の①②が満たされていなくとも、その一覧に記載された機械等は輸入できるとされています。

製造から10年超の機械を輸入するためには、この「例外規定」が適用される必要があるわけです。しかし、投資登録証発行を管轄する当局が、一覧に記載された中古機械の性能が低い等を理由に投資登録証の発行自体を認めないケースも出てくる可能性があることが懸念されています。また、この点以外にも通達23号の規定内容には不明瞭な点が複数あり、こうした点の運用が実際にどうなるのかも懸念されています。

この規制は今年の7月1日から施行されますので、できる限り最新の情報を集め、対応を検討しておく必要があります。

回答者 : 長島・大野・常松法律事務所 弁護士 中川幹久