ベトナムに進出した製造業の大きな悩みは、現地調達率の低さだ。優秀なローカル企業は少なく、部品や部材を輸入に頼る日系企業も多い。ただ、現調率は少しずつ上昇しており、ローカル企業も成長中だ。今、ベトナムの裾野産業は変わりつつある。

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新技術を導入すれば
裾野産業の将来性は高い

10月8~10日にホーチミン市で開催された「METALEX VIETNAM 2015」。ベトナム最大級の工業用の部品、工作機械、ハイテク機械、金属加工などの国際見本市だ。主催企業のReed Tradexがベトナムの裾野産業を語る。

今は技術移転の段階

Deputy Managing Director and
General Manager Vietnam
Mr. Duangdej Yuaikwarmdee
Reed TradexはASEAN最大級の工業系の展示会社であり、展示会や見本市で世界の最新技術を紹介している。最も大規模なのは「Metalex Thailand」だが、ベトナムにも新技術を紹介したいとMETALEX VIETNAMを始めたという。

「サプライヤーなどの中小企業に最新トレンドを伝えて、自社の足りない部分を気付かせて、眠っていたモチベーションを奮い起こしてもらいたいのです。ベトナムで8年間続けてきましたが、成功していると思います」

タイとベトナムの裾野産業を比較すると、タイ企業のほうが技術力は高い。ただ、タイでは原材料費や人件費などのコストが特に電気電子の分野で高く、競争力が少し下がりつつあるという。そこで今後はより高精度、高精密に特化して、日本企業と同等の品質を低価格で目指す傾向にあるそうだ。

一方、ベトナムはこれからの市場であり、人材が豊かなことがメリット。主力は中小企業で、国内の一般的な工業製品であれば対応は可能だが、外資系企業などからの高い要求に応えるのは難しく、輸出できる状態ではないという。それはローカル企業がまだ多くないという、出展企業の顔ぶれからも察せられる。つまり、世界の最新技術を持つローカル企業は稀で、今は技術を輸入している段階ということだ。

METALEX VIETNAM 2015
来場者データ
・来場者数:1万3777人と267団体
・来場者の国籍:33ヶ国
オーストラリア、カンボジア、コロンビア、デンマーク、エジプト、フィンランド、フランス、ドイツ、香港、インド、インドネシア、イラン、イタリア、日本、韓国、ラオス、レバノン、マレーシア、ミャンマーなど。

「それでも、ローカルの出展企業は少しずつ増えており、外資系企業で多いのはシンガポール、日本、中国、タイ、台湾、ドイツです。今年はグローバル企業の出展が増えており、ベトナム国内の販売代理店も一緒に参加しているのが特徴です」

来場者では高精度の技術に関心を持つ人が多くなり、自動化、特に溶接の自動化と、計測技術に興味があるという。ローカル企業の弱みは新技術へのキャッチアップが遅いことと、旧式の機械を使っていることと指摘。新しい機械への買い替えを考えて来場する人も多く、特に「正確さ」に関心を持っているそうだ。

「外資系企業の現地調達率を上げるためのサポートもしており、新しい技術や機械と共に、セミナーを開催してエンジニアの知識を高めるなど、新しいビジョンも提供したいのです。今年のJETROのビジネスマッチングは良好だったと思います」

将来は輸出の可能性も


日系・日本企業の出展も多かった METALEX VIETNAM 2015

ベトナムの出展企業で増えているのは中小企業で、技術だけでなく最新の知識も得たいようだという。そんなベトナム企業の強みを、「新しいものを常に学びたいという気持ち」と同氏。METALEX VIETNAM 2015には工作機械、自動ロボット、金属加工、アクセサリー、部品の大きく5分野があるが、特に工作機械の技術に興味を持つ企業が増えていると見ている。

例えば、XYZの3方向だけでなく5、7方向への動き、切削時に金属材料を無駄にしないで正確に作れる3D CADによる設計などだ。こうしたことができる工作機械を導入して、外資系企業からの要求の高いオーダーに応えられる、適切な技術を得たいと考えているようだ。これは国内企業からの要求に対しても同様である。

また、今後はツールの出展が増えていくとも考えている。ツールとは金属を切る特殊なカッターなど機械の重要な部品であり、生産のクオリティに直結するパーツを意味する。ツールが違えば加工製品の完成度が違ってくる。

「溶接などの自動化も発展していくと思います。自動化技術は世界的には当たり前のものですが、それがベトナムに根付くということです。普及すればエンジニアが知識を高められるので、生産効率をかなり高められます」

ベトナム裾野産業は特に電気電子の分野において、ASEANの中で将来性があるのではないかという。外資系大手企業がベトナムに生産拠点を進出し、その技術力が次第に移転されつつあるので、発注先のニーズをうまく汲み取って生産力を高めれば、輸出の可能性も出てくる。

「全日本製造業コマ大戦」も開催

「例えばバイクのサプライヤーです。ベトナム市場はバイクの存在感が高く、強みを持つ関連企業も少なくない。二輪メーカーの要求に応えられる部品を作れれば、輸出も夢ではないでしょう。年末からAEC(ASEAN経済共同体)も始まるので、チャンスは広がります」

今後は3~5年くらいの間で、ステップを踏んで発展することを期待している。その最初のステップとなるのが高精度の部品の輸入。ベトナム政府が支援すれば、資金、スキル、知識を高めて、生産力がアップする環境になると期待する。

「そうなればエンジニアや経営者の意識も変わるでしょう。簡単ではないと思いますが、Metalex Thailandのようになってほしいですね」