企業と人材とのマッチング ベトナム人の望むもの

世界的に拠点を広げるリクルートグループ。リクルートホールディングスのベトナム現地法人である同社では、スタッフからマネジャー層までの人材紹介チームと、RGFエグゼクティブサーチのチームが両輪で動いている。

ミスマッチを防ぐのは求人要件の明確化

Senior Director
Ms. Nga Vuong

「日本語人材はN2以上を希望する企業が多く、業務未経験でも日本語能力で採用されるケースもあります。最近は中小企業の進出が多く、日本語と業務経験のある即戦力を採用し、将来の幹部候補生にといった求人が多いですね」(辻氏)

ただ、こうした人材は少なく、給与も必然的に上がるので、自社の採用力を正しく認識して業務内容の見直す、妥協点を下げる、時間をかけて探す、待遇を上げる、といった選択を迫られることもあるという。

また、採用のミスマッチもあるようだ。例えば、社員がストレスなく仕事を進めるための日本語人材では、業務内容が不明確な場合もあり、それが採用失敗につながるなどだ。逆の例として辻氏は、ある日系企業の大型プロジェクトでの、経験者の少ない高度な技術職の募集を挙げる。

「高い確率で採用が決まりました。その理由は仕事のミッションが細かく決まっており、求職者には求人案件の業務内容を噛み砕いて説明できたからだと思います。営業職や管理部門なども同様で、業務内容、募集条件の明確化をより意識することは重要です」(辻氏)

エグゼクティブには密度の高いマッチングを

Office Manager
辻 貴秀氏

一方、RGFエグゼクティブサーチはエグゼクティブ人事に特化した部門。登録しているベトナム人に多い業種はFMCG(日用消費財)、工業、サービス、銀行、製薬で、職種は営業、マーケティング、人事、経理・財務、ITなどだそうだ。

他に、エグゼクティブ人事サイトのAnphabe.comやLinkedInなどとパートナー提携しており、これらの検索エンジンを使って候補者を検索している。
そして、日系企業が望む職位は、事務所の課長職から、セールス、マーケティング、製造のマネジャー層が多いという。

「ベトナム人エグゼクティブの日系企業への印象は、高い労働意識、プロフェッショナルな職場環境、温かい人間関係です。また、財政力や長期的な投資戦略も魅力的だとされています」(Ms. Nga)

こうした人材の採用を成功させる重要なポイントは、そのポジションに求められる能力、経験、専門知識の条件に満たした人材を見つけること。そして、コンサルタントが顧客の企業文化との適正を検討し、人材には企業の発展に伴うメリットやキャリアアップについて伝えることだという。

「人生の時期によって、ビジネスマンの観点や優先順位は変わってきます。しかし、キャリアアップ、福利厚生、直属の上司との関係、企業文化が、長く会社に勤めることの決定に重要な要素であることは変わりません」(Ms. Nga)