トナムのVATは複数税率(非課税、免税、5%課税取引、10%課税取引)を適用しており、今回はこの中で多くの企業に関連する、輸出免税取引の適用要件について解説して参ります。

ここでいう「輸出」とは、外国企業及び外国に居住する個人への、製品・商品の販売及び外国において消費される役務提供のことを意味します。最終消費地がベトナム国外となるため、一定の要件によりベトナム国内では免税取引とされています。なお、EPE企業向け販売も、一般的に輸出免税取引となります。

輸出免税の適用条件は、「製品・商品」と「役務提供」とに区分して規定されています。「製品・商品」の場合は、各製品についての販売契約書または受託契約書、銀行送金書、通関申告書が必要です(通達219/2013/TT-BTC号9条2項a点)。「役務提供」の場合は、契約書及び銀行送金書が必要となります(同通達9条2項b点)。

役務提供の場合は通関申告が不要となるため、海外事業者への役務提供は、幅広く輸出免税の対象になるとも思われます。しかし、輸出免税の条件として「海外において消費されるもの」と明記されているため、判定には十分注意しなければなりません。

海外業務については、ベトナム内での事業ライセンスの内容や、役務提供地での課税関係(法人所得税、源泉所得税、出張での役務提供者に対する非居住者の個人所得税など)にも留意する必要があります。

また、適用すべき税率の検討や免税要件の確認は、税務調査の際の追徴課税を防止するためにも重要となります。
次回はVATが免除となるEPE企業について解説いたします。

津田 栄治
Tsuda Eiji
AGS ハノイ事務所に勤務する日本国公認会計士試験合格者。住宅メーカー・商社で海外駐在。メーカーでの経理を経て、2013 年より現職。法人設立、会計税務などを担当。
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