求職者は学歴にも注目 ベトナム人の得手不得手を知る

登録者とコンサルティングで人材を探すHRナビは、会計事務所系コンサルティングファームI-GLOCALのグループ企業。京都大学出身で日本企業にも勤務した社長のフク氏が、ベトナム人ならではの視点で人材採用を語る。

スキルの土台がわかる求職者の出身学校

General Director
Mr. Nguyen Dinh Phuc

同社の登録者はほとんどがベトナム人で、顧客は主に日系企業。以前は顧客の6~7割が製造業だったが、サービス業の進出が増えて、現在は製造業とサービス業で半々だという。求人はホテルなどでの接客業と営業職が多く、営業ではB to B型が圧倒的だそうだ。代理店を使う企業が多いことが理由だという。

「企業のニーズに対して、営業をやりたい、営業が得意だというベトナム人は少なく、希望が多いのは人事や総務などのバックオフィス系です。年齢は20代が多いですね」

20代であれば実務経験は短いはずだが、スキルの差は顕著であり、指針の一つとなるのが出身大学という。ベトナムの大学進学率は高いが、総合大学が中心の日本と比べて経済、貿易、技術などの専門大学が多く、卒業者の専門性が確かめられる。当然ながら大学のレベルには差がある。

「同じ大学の出身でも優秀な人とそうでない人がいますから、卒業した高校も見ます。高校のレベルと同時に、特別クラスを持つ高校では数学、化学、情報学などを専門のコースで教えていますから、専攻をチェックするのです」

マルチタスクではなくシングルタスクで

また、日本語人材の少なさから、最近は英語の能力があれば採用する企業が増加しているという。ただ、それだけでは候補者は特別増えないとフク氏は語る。

スタッフのプロセス管理をする日系企業に対して、欧米系企業ではターゲット管理が一般的。欧米系企業の経験者が日系企業に入社すると退職の危惧があるため、日系企業の出身者を中心に紹介すると、母数が限られるというわけだ。

また、日本人はマルチタスクをさせることが多いが、ベトナム人には合わないという。色々な仕事を一緒に任せると、浅い経験で理解した気になり、面白くなくなって辞めてしまうこともある。そこで、タスクを切り分け、一定期間は1つに集中させて、仕事を深く覚えたら新しいタスクを渡すのがよいという。

「例えば電話営業です。最初はうまくいかなくても、業務を改善し、方法を覚えたら、成約率は上がっていくはず。こうして1年でプロになったら、別の仕事をさせるのです。そのほうがKPI(重要業績評価指標)も付けやすいでしょう」

転職後の退職を防ぐリテンションについては、「対話による信頼関係」が大切と語る。

「仕事も恋愛も同じなのですが、ベトナム人は『相手からどれだけ必要とされているか』を気にします。ある程度ウェットな関係を作ったほうがいいですよ」