就職希望が多い経理・会計、日本語人材は数年前より不足感

求人サイトと人材紹介会社の双方を持ち、その相互補完が強みのキャリアリンクベトナム。サイトの登録者はベトナム人だけで約170万人という規模だ。2006年の会社設立から9年、同社はベトナム人材の動向を見てきた。

IT系エンジニア不足はこれからも続く

General Director
山田高史氏

ベトナム人登録者の希望する仕事で最も多いのが経理・会計職で、全体の約25%、その約9割が女性という。この職種の求人企業は多いのだが、希望者には未経験者や資格を持たない人もおり、こうした人材は採用されることが難しいという。

女性には経理をはじめ人事や総務などバックヤード系が人気だが、男性で希望者が多いのはITや建設・製造業系のエンジニアで、全体の約10%がこれらの職種だそうだ。特にIT系では外資系やローカル企業だけでなく、日系企業からの求人も急増しているという。

同社には求人サイトと人材紹介会社の2つの事業があり、日系企業の顧客は求人サイトで全体の約10%、人材紹介会社で30~40%の割合。業界で多いのは製造業で、その職種はエンジニア、通訳者、専門職の人材などという。

一方、人材の需給に供給が追い付かないのがIT系のエンジニアで、特に日本語人材だそうだ。技術力があれば日本語検定を所持していなくても採用されやすいという。

「人材の母数が少ないうえに、オフショア開発がブームで日系企業が採用を急増させています。早いペースでの給与の上昇がニーズ増の証拠でしょう。発注元のほとんどが日本の企業ですから、日本でのエンジニア不足が解消されなければ、円安であってもこの傾向は続くと思います」

優秀な人材をつなぎとめる努力も

IT系企業もその応募者もWebを日常的に使っているためか、求人サイトで採用が決まることが多いが、日本語のできるブリッジSEは、人材紹介で探さなければ見つからないことも多いという。

また、営業職は求人だけでなく求職者も多いが、日系企業での日本語人材ニーズも強いという。
「日系企業からは『日本語が話せる人』という要望が多く、新卒でもよいという企業もあります。その場合は、日本に留学中でベトナムに帰国するような登録者を紹介することもあります」

現在、同社への登録者も求人企業も増加しているというが、日本語人材に関しては、数年前と比較すると優秀な人が見つかりにくくなったそうだ。その理由は日系進出企業の増加。5年前であったら、N1の人材を豊富に紹介できたが、今では以前ほど簡単には採用できないという。

「ここ数年の日系企業のベトナム進出増加により、以前よりも日本語の堪能な人材を採用しにくくなっているように思います。より一層、優秀な人材をつなぎ止める努力が必要になって来ていると思います」