ベトナムメディア業界 右往左往 No.15

2018年、ベトナムで最も成功したエンターテインメントといえば、間違いなくサッカーだろう。試合のたびにベトナム国民は一喜一憂し、勝利のたびに街は熱狂した。

その陰に隠れて、18年、急成長を見せたもう1つのスポーツがある。eスポーツだ。つまりはゲームなのだが、スポーツと呼ぶことでサブカル的なイメージを払拭し、鍛え抜かれた選手たちが戦う高等な文化活動だという意味合いが込められている。18年のアジア大会では6種類のタイトルが正式種目となり、オリンピック種目としての採用も検討されている。

eスポーツに馴染みが薄い人も多いかもしれないが、例えば『リーグ・オブ・レジェンズ』というオンラインゲームの競技人口は1億人を突破。バスケ、サッカーに次ぐ競技人口であり、ゴルフやテニスよりも多いのだ。コカコーラは、グローバル戦略としてeスポーツに広告宣伝費を投下すると明言している。

流行の発信源は?
今後の動きに注目

ベトナムでも商業ベースでeスポーツが注目され始めたのは、18年からだろう。僕らエンタメ企業はもちろん、広告代理店、政府機関もeスポーツに足を突っ込もうと取り組みを始めている。

このeスポーツは必ず流行る。実はカラクリがあって、アリババやテンセントなどの中国ジャイアントが各国のゲーム会社の大株主であり、同時に、オリンピックやアジア大会のビッグスポンサーだからだ。この流れにあがらうことはできないので、新規参入する僕らはどのような切り口でIP(知的財産権)を取るか必死に知恵を絞っている。

新しい産業を締め出すことなく、うまくお金が集まる仕組みを作ればeスポーツはますます伸びるだろう。

ひょっとして、あと数年したらeスポーツの勝敗で街が大騒ぎする日が来るかもしれない。

 

小森 悠矢
ホーチミン市最大級のTV制作会社MCV Corp勤務。
YouTube番組「ベトナム旅行 69」を毎週金曜に配信中。
僕、小森がキャストもやっています。見て、シェアして、感想をぜひ!
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