【ベトナム税務・会計】ベトナムの土地の使用権
表示科目には注意が必要
Yベトナムの小野瀬です。第26回の対談は、監査マネジャーのDoanhさんです。
小野瀬 決算期を迎え、多くの日系企業が日本本社へ財務諸表等を報告・提出する時期かと思います。日系企業のベトナム子会社をサポートさせていただく中で、日本本社から「ベトナムにおける土地は貸借対照表上どの項目に計上されていますか?」というご質問を頻繁に受けます。この点に関して、ベトナムにおける土地の表示区分等について教えて下さい。
Doanh ベトナムでは、土地は国有財産となっており、所有することが認められておりません。例えば、日系企業が多く進出している工業団地の場合は、ベトナム政府から直接土地の使用を日系企業自体が認められたわけではありません。ベトナム政府が土地の使用を許可した、工業団地の管理会社からのサブリースという形となっています。
そのため、日系企業が使用している土地はサブリースでの使用となっており、支払った金額は、リース料の前払いとして処理されることとなります。
小野瀬 リース料の前払いということは、具体的には「長期前払費用(または前払費用)」として処理されることになるかと思いますが、注意すべき点はありますか?
Doanh 土地のリース契約が2003年より前に締結をしている場合には、「無形固定資産」として計上されているため注意が必要となります。親会社が連結財務諸表を作成している場合には、連結財務諸表上、当該土地の前払いリース料の表示科目を、グループの方針に沿って組み替える必要があります。また、財務諸表提出時には親会社に、土地の計上区分についても適切に伝えることが重要と言えます。
小野瀬 貴久
Onose Takahisa
Ernst & Young Vietnamのホーチミン事務所に勤務する日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、2006年からEYジャカルタ事務所、2011年よりEYベトナム・ホーチミン事務所に勤務。
ウェブサイト: www.ey.com
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