6回の対談は、税務及びライセンス担当のThinhさんです。

小野瀬 資本構成の変更を検討する企業が増えていますね。当初2社合弁で設立して、その後に関係を解消したり、出資比率を変更する事例があります。

Thinh 経営判断の迅速化や運営が思うように上手くいっていない場合、経営を効率化する手段の一つとして合弁の解消があります。

小野瀬 ベトナムでは資本構成を変更する手続きは大変ですね。規定が複雑かつ不明瞭で、どの手続きを行えばよいのかという相談も多く受けます。

Thinh 検討すべき事項としては、持分譲渡契約の内容、ライセンスの変更、キャピタルゲイン課税、租税条約適用による免税の可否、送金方法など数多くあり、手続きも大変です。
例えば、昨年、新投資法が施行されました。その趣旨のひとつはライセンス手続きの簡素化ですが、複数の手続や適用条件があり、より複雑になっている印象です。また、税金申告や免税適用の申請についても、多くの書類が要求されます。送金についても、たとえ出資者が日本の会社同士であっても、売買代金の送金についてはベトナムの口座を通すなど、非常に複雑です。
小野瀬 当局から、規定には記載されていない資料や説明を求められることもあると聞きます。

Thinh 追加の資料を求められた場合、事前に準備を行っていない際には、手続きにかなりの時間を要してしまう可能性もあります。資本構成の変更の場合は、取引額が大きくなり、出資者の資金繰りにも思わぬ影響を与える場合があります。そのような自体を避けるために、当局との事前確認も重要です。

小野瀬 貴久
Onose Takahisa
Ernst & Young Vietnamのホーチミン事務所に勤務する日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、2006年からEYジャカルタ事務所、2011年よりEYベトナム・ホーチミン事務所に勤務。
ウェブサイト: www.ey.com