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月初めにベトナム株式市場は急騰し、VN インデックスは過去 8 年の最高値に達した。この上昇に大きく寄付したのは大型株であり、ほとんどは本年度で高い利益の伸び率を達成できると見込まれる。また、建築建材、医薬品関連株を中心に、中型株の上昇も重要な役割を果たした。

ベトナムと英国間の貿易・投資関係は相対的に深くないことから、英国のEU(欧州連合)離脱によるベトナム株式市場と投資家心理への影響は限定的だと見られている。英国の EU 離脱騒動後、世界の株式市場の急速な回復により、ベトナム投資家の信頼感が大幅に強化された。

一方で、ベトナム各証券会社間の激しいシェア拡大競争を背景に、各社は信用取引サービスを強化していると見られる。ベトナム株式市場で個人投資家は市場参加者の 70%以上を占め、これから企業の IPO・新規上場の増加に伴い、個人投資家の信用取引へのニーズが高まるだろう。信用取引サービスが強化されると、市場への新たな資金流入が進み、海外投資家の購買力低下を埋め合わせると期待される。2016年後半には委託保証金率を引き上げる証券会社も増加し、需要を喚起して市場を安定させると予想される。

マクロの面では、農業や資源開発のマイナス成長及び輸出の伸び悩みにより、経済成長が減速すると見られる。2016 年上半期の GDP 成長率は 5.5%となり、前年同期の 6.3%より低かった。政府は直ちに経済を促進させる政策として金融緩和、貸出し伸び率の引き上げ、国家予算の支出を加速させるだろう。しかし、政府の目標率 6.7%を達成するのは難しいのではないか。

グエン・ドゥック・フン・リン
Nguyen Duc Hung Linh
Saigon Securities Inc.の個人向け分析・投資コンサル部門マネジャー。シンガポールでMBA、ハノイで学士号を取得。シンガポールで市場分析家や法律専門家として勤務後、2011年より現職。
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