【ベトナム税務・会計】法人税優遇について①
2009 年~ 2013 年の条件明記
回は、2016 年4 月7 日に発行された法人所得税(以下CIT)優遇についてのオフィシャルレター4769(以下OL4769)を解説いたします。今まで、新規・事業拡張投資から生じる所得に対するCITは、優遇対象期間と対象外の期間が繰り返されてきました。まず、1993 年に初めてCIT 優遇が始まりました。次に、通達130/2008/TT-BTC(以下通達130)および通達123/2012/TT-BTC(以下通達123)で、2009 年から2013 年
(以下該当期間)はCIT 優遇の対象外となりました。そして通達78/2014/TTBTCで、2014 年から現在までは再度CIT 優遇の対象となっています。
これまでの問題点は、通達130・123における「新規・事業拡張投資」の定義が、規定上不十分であったことです。そのため、納税者と税務当局との間で、該当期間の投資許可取得当初から予定されていた工場拡張や製造ライン増設や既存設備の取替投資による固定資産額や製造能力の増加が「新規・事業拡張投資」に当たるか否かが議論となっていました。2016 年発行のOL4769 は、その解決策を提示しています。
財務省はOL4769 を公布し、2009年から2013 年の設備投資で、以下の2 つの条件を共に満たす場合は新規・事業拡張投資には該当せず、CIT 優遇の対象となるとしています。①設備投資は「既存設備の減価償却費」、「税引後利益」、「投資許可証に登録済みの総投資額の範囲内の資金」のいずれかにより支出されたこと。②新規・事業拡張投資は、登録済みの生産規模を増加させないこと。
このように、CIT 優遇の対象となる条件が明記されたことで、該当期間におけるCIT 優遇の取扱いが明確になることが期待されます。次回は2014 年以降のCIT 優遇の取扱いについて解説いたします。
吉田 俊也
Yoshida Shunya
AGSホーチミン事務所に勤務する日本国公認会計士。日本の大手メーカーでの経理を経て2014年より現職。原価計算システム構築、連結決算、国際会計基準対応などに強みを持つ。
http://ags-vn.com
コメントを残す