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016年初から30営業日の間、VNインデックスは6%下落し、ベトナム株式市場の景気悪化が見られている。その背景には、原油価格の下落による石油業界の株価低迷の継続、中国の景気減速や深刻化する欧州の難民・移民問題、予測された2016年の世界経済の低成長などの影響を受けた世界の株式市場の下落といった外因がある。

他には2つの内因も考えられる。1つ目は、海外投資家の年初からの売り越し額が7000万USDに及んだこと。また、第12回ベトナム共産党大会の開催前と最中に投資家が慎重な姿勢を示したことだ。

今までに反して、2016年1月は海外投資家からベトナム株式市場への資金流入が大幅減少した。その上、昨年末の米連邦準備理事会(FRB)の利上げと新興市場の低成長により、海外投資家はベトナムから資金を引き上げる傾向がある。例えば、アメリカに上場されているマーケット・ベクトル・ベトナムETFは昨年同期に1600万USDが流入したものの、今年初から1100万USDが引き上げられた。もう1つの留意点は、引き上げられた資金は2015年に購入された好景気の建設・建材業界などを含めて、ほとんど全ての業界の株である。

しかし、明るい要素もある。2月に著名されたTPP協定では外国直接投資(FDI)の誘致と輸出活動の拡大が期待される。また、第12回ベトナム共産党大会では、優秀で、金融・経済の深い知識を持っている次期5年間の指導者4名が議決され、これからの革新的な経済政策が期待される。株式市場では投資家の信頼感が重要なので、適切な政策が出せれば、国内だけでなく、海外投資家の信頼感も回復できるだろう。

グエン・ドゥック・フン・リン
Nguyen Duc Hung Linh
Saigon Securities Inc.の個人向け分析・投資コンサル部門マネジャー。シンガポールでMBA、ハノイで学士号を取得。シンガポールで市場分析家や法律専門家として勤務後、2011年より現職。
ウェブサイト: www.ssi.com.vn