回は、先日改正された社会保険法(法58/2014/QH13)の主な改正点を紹介いたします。

なお、本法令は、2016年1月1日より適用されておりますが、一部条項については2018年1月1日からの適用となります。

まず、2016年1月1日より適用されている本法令の主な改正点として、社会保険料の計算基礎となる給与範囲の明確化が挙げられます。ベトナムにおいては、被雇用者の毎月の社会保険料納付額は、被雇用者の月額給与に保険料率を乗じることで算定されます。改正前の社会保険法では、月額給与の範囲が不明確でしたが、今回の改正社会保険法では、雇用者が定める給与制度の下で社会保険料を支払う従業員については、基本給に加え「労働法に規定される手当」も月額給与に含まれることが明示されました(法58/2014/QH13第89条)。具体的には、労働条件、業務の複雑性、生活状況等に応じた手当、被雇用者の業務の進捗や成果物に応じた手当が含まれることとなります(通達47/2015/TT-BLDTBXH第4条2項)。

なお、2018年1月1日より、上記に加えて「労働法に規定されるその他の給付」(例えば昼食手当や育児手当等)も社会保険料算定上の月額給与に含まれることとなり、社会保険料負担額の増加が見込まれます。

また、2018年1月1日に適用が開始される主な改正点として、強制社会保険の加入対象者の拡大も挙げられます。強制社会保険の加入対象者はこれまで基本的にベトナム人に限定されていましたが、本法令において、ベトナム当局より発行される労働許可証等を有する外国人労働者も、強制社会保険の加入対象となる旨が規定されました。適用開始は少し先の話ではありますが、ご留意いただければと思います。

吉田 俊也
Yoshida Shunya
AGSホーチミン事務所に勤務する日本国公認会計士。日本の大手メーカーでの経理を経て2014年より現職。原価計算システム構築、連結決算、国際会計基準対応などに強みを持つ。
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