トナム株式市場はテトの連休で休場したため、世界株安の直接的な影響は避けられた。休場明けで世界の市況が安定し、第12回ベトナム共産党大会の成功と共に、VNインデックスは5.5%増となった。その要因には以下が考えられる。まずは、2月15日以降原油価格が17%上昇したおかげで、石油業界の株価が25%と大幅に上昇し、最も高成長の業界となった。2つ目は、多くの大手企業が、株式の外資保有比率を49%から100%まで引き上げることにしたこと。これらの企業は良い経営基盤を持つと外国人投資家から関心を集めている。

最後は外国人投資家の売り越し動向が落ち着いたこと。年初6週間に、外国人投資家の売り越し額が5500万USDだったのに対して、テト休場明けに2100万ドルの買い越しに転換した。この原因は外資規制の緩和のほか、ベトナムを含め、新興市場からの外国人投資家の資金流出傾向が弱まったという重要な原因もある。世界の金融市場の変動により、米連邦準備制度理事会(FRB)の次回利上げの可能性も大きく減少した。また、景気を刺激する欧州と日本のマイナス金利政策により、新興市場への資金流入の傾向が出た。

ただ、原油価格の回復は一時的かもしれないし、次回米利上げが6月になる可能性もある。また、公的債務や財政赤字など、ベトナム経済に内在するリスクがあり、統計資料によると、政府の公的債務は最大許容である国内総生産(GDP)の50%を超過した。その結果、ベトナム株式市場が回復するのに時間が必要となり、市場が調整されたら、投資チャンスになるのは消費財、電力、インフラ、銀行、港湾、建築・建材の業界と見られる。

グエン・ドゥック・フン・リン
Nguyen Duc Hung Linh
Saigon Securities Inc.の個人向け分析・投資コンサル部門マネジャー。シンガポールでMBA、ハノイで学士号を取得。シンガポールで市場分析家や法律専門家として勤務後、2011年より現職。
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