トナムに進出する外国企業にとって基本となる法律、投資法と企業法が、昨年秋の国会で全面改正され、今年7月1日から施行されます。今回は改正投資法、次回は改正企業法についてご紹介します。

現在、外資企業には必ず発行されている投資証明書(IC:改正法では「投資登録証明書(IRC)」)ですが、改正法では、外国投資家による新規の投資プロジェクトの場合にのみ発行され、既存の現地企業を買収する場合には不要となりました。これにより、外国企業が現地企業を買収する際の負担減が期待されます。また、外国企業がマイノリティ(51%未満の出資)である内外合弁企業が、さらに子会社(外国企業から見れば孫会社)を設立する場合には、IRCが不要となりました。一方で、現在のICは事業登録証明書(BRC:改正法では「企業登録証明書(ERC)」)を兼ねているので別途BRCの取得は不要ですが、改正法のIRCはERCを兼ねておらず、別途ERCの取得が必要となります。

このほか、投資禁止分野と条件付投資分野が整理されて一覧リストが明示され、国家企業登録情報ポータルにも掲載されます。今後新しく追加するには、法律・国会常務委員会令・政令のいずれかが必要となりました(各省庁の通達では不可)。
投資優遇措置に関しては、国会案件・首相案件・重要インフラ案件における国家機関・国営企業の契約上の義務履行に対する政府保証、大規模プロジェクトやハイテク産業への優遇対象分野の拡大、IRCへの優遇措置の内容・根拠・条件の明記、などが挙げられます。

これから7月1日の施行に向けて、施行ガイドライン政令が制定され、具体的な要件や手続が示されます。

小幡 葉子
Obata Yoko
TMI総合法律事務所ハノイオフィス勤務。日本国弁護士・ベトナム外国弁護士。1992年より雨宮眞也法律事務所にて企業法務を担当、JICAベトナム法整備支援長期専門家などを経て、2013年4月より現職。
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