年7月1日から改正企業法が施行されるので、その主な改正点を説明します。現行法では1人である有限会社・株式会社の法的代表者は、複数人を置けるようになります。ただし、少なくとも1人はベトナムに居住していなければなりません。

会社の事業範囲は、現行法の事業登録証明書(BRC)に相当する企業登録証明書(ERC)に記載する必要はなく、定款において定めるものとされます。ただし、事業範囲を変更したときは、管轄当局に通知する必要があります。

企業印鑑については、現行法では管轄当局が発行し、登録を要しますが、改正法施行後は、企業は企業印鑑の内容、形態、個数を決めることができ、使用前に企業登録当局に対して、企業印鑑の通知を行うものとされます。また、現行法では企業印鑑を本店に保管する必要がありますが、改正法施行後は使用及び保管については定款で定めるようになります。

有限会社における定款資本の払い込み期間は、現行法ではBRC発行日から3年以内ですが、改正法施行後はERC発行日から90日以内に払い込まなければならないとされます。

株式会社の株主総会の第1回目の定足数は65%から51%に、決議要件は通常多数が65%から51%に、特別多数が75%から65%に引き下げられます。これらより高い割合を定款で定めている場合は、定款が優先すると解されます。また、親子・グループ会社間では、子会社による親会社の出資・株式取得、及び同一の親会社を有する子会社相互間の出資・株式保有が禁止されます。

その他、少数出資者の保護や会社機関設計の柔軟化等の点も改正がありますが、いずれも今後制定される、施行ガイドライン政令や運用を見守る必要があります。

小林 亮
Kobayashi Ryo
TMI総合法律事務所ホーチミンオフィスに勤務する、日本国及びベトナム外国弁護士。東京オフィスにて多数の東南アジア案件を担当後、2014年3月よりホーチミンオフィス駐在。
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