日、日本人経営者の方から面白く、怖いお話を聞きました。会社の立ち上げ時から一緒にやってきた、ベトナムで最も信用しているベトナム人ダイレクターのA。彼とメンバーの定着や会社経営について話していたら、Bというメンバーから1本のメールが…「社長は私のどこが嫌いですか?」。

「んん? 何のこと?」と訝しく思い、本人に確認すると、Aからこんなメールが来たそうです。「社長から、『俺はBが嫌いで辞めてほしいが、仕事ができるから仕方なく雇っている』と愚痴を言われた。これも仕事だが、正直悲しい」。
全く理解できずに混乱する社長の姿を見て、Bはそのメッセージを見せ、日本語ができるベトナム人スタッフに確認したところ、本当にそう書かれていたそうです。

Aはとても仕事ができ、メンバーの心をしっかりと把握し、適切なフィードバックもくれる。メンバーからの信頼は厚く、マネジメント力もある。ただ、彼が何か邪悪な意図を持っていたのだとしたら…。

突然怖くなった社長がBに他のメールも見せてもらったところ、「社長はベトナムが嫌い」や「この会社は半年もたない」などのオンパレード。結局、Aには辞めてもらったとのことです。

社長は、「近い人間を疑うのはキツイから、これからもだまされるかもしれないけど、いやー、ベトナム人のスキルは高いね」とつぶやいていました。

ドラマやマンガのような世界は、ベトナムには意外と近くあります。「この人ならだまされてもいい!」という人なら100%信頼してもいいでしょうが、そうでなければ、寄りかかり過ぎることに意識をしたほうがいいでしょう。

加藤 将司
Kato Masashi
JACリクルートメントベトナムManaging Director。大学卒業後、大手人材紹介会社を経て、一貫してベトナム人材の紹介や採用&育成に関わり、今年で12年目。2013年6月より現職。
www.jac-recruitment.vn