回は、ベトナムCIT(法人所得税)の納税を解説して参ります。

CITの課税年度は暦年(1月~12月末)が多く見られますが、管轄当局から事前承認を得て、各四半期末(3月末、6月末、9月末、または12月末)を決算日とすることも可能となります。なお、日本の親会社の決算期が3月末である関係から、12月末を決算日とする場合も多くなっております(ベトナム側の決算確定に時間を要するため)。

CIT納税は四半期ごと、各四半期末の翌月30日(1、4、7、10月末)までに予定納税を行います。予定納税の制度が始まってからまだ日が浅いのですが、予定納税額と確定申告額の差が20%以上あると罰金の対象になりますので、ご留意下さい。

決算日後に行う確定申告は年次で行うこととされており、確定申告書は課税年度末から起算して90日以内に提出する必要があります。例えば、12月末決算日であれば、3月末までに申告・納税となります。また、申告にあたっては、「トークン」と呼ばれる電子端末による電子申告が、現在多くの地域で義務付けられています。

もし、確定申告により追加で納税すべき税額が発生した場合、当該税額についても確定申告書の提出と同時に支払う必要があります。逆に、確定申告により還付されるべき法人税額が発生した場合、税務当局から企業への還付ではなく、次回以降の申告時に当該還付税額を税額控除するという運用が多く見られます。

納税遅延の場合、原則として未納税額に対し1日当たり0.05%が延滞税として課される点に、留意する必要があります。

次号からは、ベトナムにおける付加価値税(VAT:Value Added Tax)に関する解説となります。

津田 栄治
Tsuda Eiji
AGS ハノイ事務所に勤務する日本国公認会計士試験合格者。住宅メーカー・商社で海外駐在。メーカーでの経理を経て、2013 年より現職。法人設立、会計税務などを担当。
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