如雨が降ったり、一日中曇りだったり、ベトナムの天気は特に予報が難しいと思います。ただ、気象予報が当たらなかったり、誤った報道がされたりすることで、甚大な被害が出てしまうケースもないとは言えません。実際、2016年7月27日にベトナムに上陸した台風第3号は、気象予報に誤りがあったこともあり、死者や多数の家屋倒壊等、大きな被害が出ました。これを受けて、気象予報に関する罰則規定を含む新たな政令84/2017/ND-CP号(「84号政令」)が、今年9月10日から施行されました。

84号政令では、気象災害の予報や警告に関するニュースを誤って放送または掲載した機関・組織には、4000万~5000万VNDの罰金を科すと定めました。この罰則は、「誤った気象予報」のニュースを放送または掲載する場合ではなく、気象予報のニュースを「誤って放送または掲載」する場合に適用されます。よって、この罰金が科される可能性がある対象は、放送局や新聞社等の報道機関が中心となります。

他方で、「誤った気象予報」についても、繰り返し行われる場合には罰則が適用されます。84号政令は1ヶ月の間に3回続けて誤った予報をした場合には、300万~500万VNDの罰金を科すと定めました。このような罰則が科される対象は、気象予報機関等となります。

報道機関に対する規定では、「気象予報機関が発表したものと違う内容を放送・掲載した」と解釈できますから、罰則規定も納得できるでしょう。他方で、気象予報機関に対する規定では、何をもって「誤った」気象予報なのかは明確ではなく、ベトナムの雨季の天気の移ろいやすさ等を考えると、気象予報機関等に対する規定は厳しいかもしれません。皆様はどのように思いますか?

小林 亮
Kobayashi Ryo
TMI総合法律事務所ホーチミンオフィスに勤務する、日本国及びベトナム外国弁護士。東京オフィスにて多数の東南アジア案件を担当後、2014年3月よりホーチミンオフィス駐在。
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