んにちは、AGSの辻です。今回は短期滞在者免税制度についてご案内いたします。

短期滞在者免税制度とはその名の通り、条件を満たしたベトナム短期滞在者の個人所得税が免除される制度になります。ぜひとも利用したい制度だと思いますが、実際に利用される方は多くありません。まずは適用条件を見てみましょう。

①ベトナムに暦年を通じて183日を超えて滞在しないこと、②報酬が日本側の雇用者もしくはそれに代わる者から支払われていること、③報酬がベトナムの恒久的施設及び固定的施設によって負担されていないこと(日越租税条約第15条)。

ただし、③の場合は同条約第16条にて「ベトナム法人の役員として受け取る役員報酬についてはベトナムで課税することができる」とされているため、基本的にはベトナム法人の役員には適用できません(ベトナム法人が給与を支給しない場合の取扱いについては前号のコラムをご参照ください)。

上記の通り、ベトナム法人の役員には適用できないということが、利用者が少ない代表的な理由として挙げられますが、事前申請及び事後報告が義務付けられていること、申請時に所得情報や滞在履歴を開示する必要があることも、利用者が少ない理由となっています。

ただ、法人ではなく駐在員事務所であれば、基本的には日越租税条約第15条の恒久的施設及び固定的施設に該当しないために否認リスクが小さく、また駐在員事務所所長であっても短期滞在者免税制度が適用可能であることから、積極的にご利用をご検討いただいてもよいかと思います。手続きなどの詳細は専門家にご相談ください。

辻 雄太
Tsuji Yuta
AGSホーチミン事務所に勤務する米国公認会計士。日本の大手メーカーでの勤務を経て2015年より現職。国際税務・国際会計基準対応などに強みを持つ。
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