賢者の税務・会計術 vol.045

こんにちは。AGSアカウンティングの堀切です。「堅苦しい税制を、少しでも身近なものへ」をテーマに、本稿では移転価格文書作成義務の免除規定と具体的な対応方法の概要を解説します。要点をよく理解したい方は、ぜひ最後までご一読ください。

免除要件の改正には
十分な注意が必要

従前の政令20号/2017/ND-CPでは、売上高等の金額基準により、零細企業への移転価格文書の作成義務が免除されていました。
 
親会社等への売上取引額が相対的に少ない、IT企業やレンタル工場で生産を行う企業等を含む、一般的な外資企業で免除の適用がされています。
 
また、直近の改正により、ベトナム国内で法人税を申告納税する関連者との取引で一定の要件をみたす取引は移転価格文書作成免除の対象であることが規定されました。移転価格文書作成義務とその免除要件の改正には十分に留意が必要です。

マスター&ローカル
ファイルは外部作成

では、移転価格文書は、具体的に何を作成すればいいのでしょうか。これは3つに大別されます。
①マスターファイル
②ローカルファイル
③法人税の確定申告書付表
 
一般的には①マスターファイルと②ローカルファイルは、外部コンサルを利用して文書を作成し、③は社内経理、または記帳会社と確認をしながら対応をします。
 
マスターファイルとは、企業グループ全体の事業概要等についての報告文書です。親会社でマスターファイルが既に作成されている場合は、そのベトナム語翻訳と加除修正が必要になります。
 
一方のローカルファイルは、ベトナム法人の事業内容についての報告文書です。

法人税の確定申告書付表は、文字通り法人税申告書の一部となっており、電子申告により毎年税務署への報告が必要になります。
 
次回以後も、本稿では説明しきれなかった移転価格税制の各要点について解説をしていきます。
 
なお、移転価格文書の作成方法の詳細や、その取り扱い等については、専門家への相談を推奨いたします。

日本国税理士。2012年よりベトナム常駐で会計税務業務へ従事。ベトナム赴任前は、東京の会計事務所にて多くの外資系企業へ日本国内税務業務提供。
【AGS Accounting Co., Ltd. ハノイ市事務所】
堀切 泰孝 Horikiri Yasutaka
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