んにちは、AGSの辻です。前回は配当金送金時の規制についてご紹介しましたが、今回のテーマは配当金に関わる税金です。まずは、配当金を海外法人に送金する際の税金について見てみましょう。

他国では配当金を海外に送金する際、租税条約の適用があったとしても、5~15%程度の源泉所得税を徴収されるケースが多くあります。しかし、ベトナムにはこの源泉徴収規定がありません。つまり、ベトナムから海外法人に配当金を送金する際には、決議された配当金額すべてを送金することが可能となります。

ただし、日本で配当金を受け取る際、ベトナム内国法人が関連子会社でない場合は、日本において通常の法人税率が配当金に対して課せられます。一方、関連子会社である場合には95%益金免除となります。

なお、ベトナム内国法人が同じベトナム内国法人に配当金を送金する際には、源泉所得税を徴収されることはなく、また、受け取った配当金に対して課税されることもありません。

翻って個人が配当金を受け取る場合には、配当金額に対して5%の源泉所得税が徴収されます。ただし、もしも配当が株式や持分によって行われた場合は、受取時に税金を支払う必要はありません。

一般的に他国と比べ、ベトナムは法人所得税率が低く、また配当金送金時の源泉所得税もありませんので、グローバルなタックスコントロールという観点からは、日本ではなくベトナムで利益を出すという考え方もあるかと思います。

グループ全体でのタックスコントロールをご検討の際は、専門家へご相談されることをお勧めします。

辻 雄太
Tsuji Yuta
AGSホーチミン事務所に勤務する米国公認会計士。日本の大手メーカーでの勤務を経て2015年より現職。国際税務・国際会計基準対応などに強みを持つ。
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